フジテレビ『逃走中』と「ゴミ拾い」を融合したイベントに記者が参加して驚いた
ポイ捨てする人に歩み寄る姿勢
続けて、ゴミのポイ捨てをなくすために必要なこととして、「ポイ捨てをする側の気持ちを理解した上で活動を展開する必要があると思っています」と北村氏は説明。
「清掃活動をされている方や、ポイ捨てに怒りを覚えている方の中には『ポイ捨てする人の気持ちは分からない』と一蹴する声が多くあります。しかし、それではポイ捨てをする人との対立となってしまい、問題は平行線のままです。つまり、ポイ捨てする側の気持ちを理解した上でいかにその人たちも巻き込んだ活動ができるかが焦点になってくると思います」
攻撃的にはならずに歩み寄りの姿勢の重要性を指摘した。
ゴミ箱少ない問題を何とかしたい
ゴミのポイ捨て問題は、ポイ捨てする側のモラルを指摘されやすい。ただ、東京メトロは2022年1月16日、駅構内のゴミ箱を一斉撤去するなど、公共スペースからゴミ箱がなくなっている。「ゴミ箱が少ない」という不満は少なくなく、ゴミのポイ捨てを加速するリスクがある。
「ゴミ箱の撤去はポイ捨てをする側にとっても、ゴミを拾う側にとっても深刻な問題です。『ゴミ箱があればそこに捨てる』という人たちが、『ゴミ箱がないから仕方なくポイ捨てをする』という言い訳を与え、さらなるポイ捨て増加が懸念されます」
そう北村氏は危惧し、ポイ捨てをなくすための意識だけでなく、“インフラ”の必要性に対しても言及した。
「また、拾う側にとっても、駅や大型商業施設などのゴミ箱は自分の居住地以外でゴミ拾いをする際の重要な場所です。そこが撤去されてしまうと、よりゴミ拾いをしにくくなってしまいます。『ゴミ箱があればポイ捨て問題が解決する』とは思いませんが、ポイ捨て問題解決における必要条件ですので、この傾向は見直してほしいです」
最後に「今後は『清走中』を全国で開催し、企業・自治体との連携を深めていきます」と意気込みを語ってくれた。『清掃中』を運営する上で必要な資金をクラウドファンディングで募ったところ、約1か月で3,42万4,400円もの支援があった(現在は終了)。もちろん世論の影響も大きいはずだが、徐々に北村氏の取り組みが浸透している結果でもあるだろう。ゴミ拾いを身近に捉えるために、機会があれば「清走中」に参加してみてはどうか。
<取材・文/望月悠木 編集/ヤナカリュウイチ(@ia_tqw)>