19年連続赤字をどう脱した?「レッドロブスター」に聞く日本上陸40年の苦労と成功
テイクアウトやデリバリーには注力しない
「特段、コロナ禍の前後で大きく変わったものはない」と語る益岡氏は、レッドロブスターが2020年以降、他の飲食店に比べて売り上げへの影響が少なかった理由について述べた。
「長年営業しているからこその『安心・安全』という要素が、コロナ禍でもあまり痛手を受けなかった要因だと思っています。また、店内も広々とした空間の店舗が多く、ソーシャルディスタンスを確保できたことも理由のひとつです。さらに、お客様の外食機会も少なくなっていますが、そのぶん1回の外食でちょっと高級感のある食を求めるニーズが顕在化し、以前と変わらずにレッドロブスターをご利用いただけているのも大きいと考えています」
多くの飲食店が、軒並みテイクアウトやデリバリーに活路を見出し、新たな需要喚起を狙った一方、レッドロブスターはそこに注力しないことを決めているという。
「コロナになる以前、将来的に内食や中食の需要が伸びるのを想定し、テイクアウトやデリバリーの導入について議論したことがあったんです。ただ、やはりレッドロブスターの付加価値を感じてもらうには、イートインでの顧客体験を追求していく方が重要であると判断し、そちらに注力していく意思決定をしました。現状としては、レッドロブスターに行きたくても行きづらい方のためにテイクアウト商品を用意していますが、今後拡大していく予定は今のところ考えていないですね」
物販やEC販売も視野に入れ、新たな販路拡大を
今後の展望としては、過去のような出店攻勢は取らず、「着実に地域で愛されるお店として根付かせていく」と益岡氏は話す。
「地域密着で営業しているロードサイド店舗は、その地域で末長くレッドロブスターを続けられるようにオーナーさんとの関係性構築は気を遣っています。
こうしたロードサイドを中心に地盤を固めつつ、ポテンシャルを感じた立地があれば出店も検討できればと考えています。また、リアル店舗以外の物販やEC販売にも挑戦していきたいと思っていて、昨年は食品会社とコラボし、スープ商品の監修を行いました。今年で40周年を迎えるのを機に、どうやって事業を成長させていくかを考えながら、さまざまな方向性を模索していく予定です」
最も来店が多いのは「母の日」、「父の日」、「クリスマス」といったハレの日だという。非日常や特別感を味わえるシーフードレストランとして、紆余曲折ありながらも生き残ってきた40年。これからも、レッドロブスターの挑戦は続く。
<取材・文・撮影/古田島大介>