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女性社員のいじめで退職寸前の29歳男性「こんな会社、アホらしい」 プロも悩む難しい選択

学び

パワハラへの具体的な対応「転職も選択肢に」

職場

 パワハラ問題に対応するにはどうすればいいのか。大津氏は、「まず、男性が女性に直接言えるならば、例えば『こういう行為を受けているから、仕事がやりづらい』とソフトな口調で切り出しては」と語る。

「その後も改善されないならば、直属上司に伝えるのがよいと思います。仕事ができない状況を事実にもとづき、冷静に淡々と話してみるとよいでしょう。自分としては仕事をきちんとしたいのだといった思いを伝えることに重きを置くと、上司も聞きやすいはずです。女性への感情的な批判や非難は避けたほうが問題解決のためには無難だと思います。

 これでも、上司が一向に解決に向けて動こうとしないならば社内にあるパワハラに関する相談窓口に行くことも、選択肢のひとつとして挙げられます」

 パワハラ防止法では、社内にパワハラに関する相談窓口を設けることが義務付けられており、2022年4月からは、中小企業もその対象となる。

企業は人材の定着を真剣に考えるべき

「ここまでもつれている場合は本来、上司が解決するために動くべきだと私は思います。パワハラの加害者、被害者ともに何らかの問題がある可能性がありますから、周囲への社員へのヒアリングのうえ、適切な対応が必要です。

 その後も一向に改善されずに男性が苦しむならば、29歳という年齢や前職を含めた実績、今後の可能性を見ると、将来有望のようですから他の会社に転職することも選択肢のひとつにはなりうるのかもしれません。こういう問題を放置するような会社では、優秀な社員が定着することはないでしょう。今後、ますます人材採用は難しくなるので、事業の存続のためには人材の定着を真剣に考えなければなりません。

 パワハラを受けた従業員の一定数は誰にも相談することなく、退職を選択するという調査結果も出ています。だからこそ、私は『真剣にパワハラ防止に向けて取り組みましょう』と機会あるごとに人事担当者たちに呼びかけているのです

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