モスバーガー、競合に負けない「2等立地戦略の強み」を執行役員に聞いた
自然災害と食中毒事件を大きな教訓に
「海外はもっと出店の余地があるので、日本以上に広げて行きたいと思っています」とも金田氏は語るが、そんななかで大きな問題が発生した。経常利益が48億9200万円(2016年度)から7億2400万円(2018年度)と大幅に下がってしまったのだ。
「2018年6月に起きた大阪府北部地震や同年7月の豪雨など、自然災害の影響もありましたが、同年8月にモスバーガー店舗で発生した食中毒事故が大きな要因として挙げられます。事故の原因は特定できませんでしたが、それ以来、当チェーンとして原料生産から店舗納品まで、全ての工程を見直し、お客様の食に対する信頼回復を最優先として取り組んで参りました」
2018年から2021年までは売上・利益ともV字回復を達成している。2019年からのコロナ禍による影響は感じられない。
「コロナ禍の初期段階は大規模な商業施設や館自体が閉まってしまったので、これらの施内内のお店は営業ができませんでした。ただ住宅街のお店やドライブスルー併設のお店はテイクアウト需要が増え、全体的にコロナの前よりも売上が伸びましたね。もともとイートインが4割、テイクアウトが6割だったのが、今は3割と7割になっています。一時期は2割と8割になったこともあります」
創業50周年で成増が「なりもす駅」に
冒頭にも述べた創業50周年のイベントでは1号店の成増(板橋区)で、3月8日、盛大にイベントが行われた。成増に住んでいたことのある筆者だが、ここのモスバーガーが1号店だったなんて露程も思わなかった。
「意外とみなさん成増に1号店があるということを知らないので、この50周年を機に知っていただくほか、地元の方やモスバーガーに関わりのある全ての方に50年営業し続けてこられた感謝の気持ちをお伝えするため、板橋区や東武鉄道さんにご協力をいただきました。また、成増駅の駅名看板を『なりもす駅』に変えていただいたことで、みなさんから注目していただけるようになりました」
さらに当時人気だった「モス・ダブルバーガー」を現代風にアレンジした「なりもす・ダブルバーガー」を開発(すでに販売終了)。
「成増店は1日の売上の半分以上がなりもす・ダブルバーガーで、ありがたいことに通常の1.5~3倍の売上でした。レシートも”なりもす店”に変わっているので、レアですね。日本生まれの初めてのハンバーガーということで、若者にもだいぶ浸透したのかなと思います」