“笑顔が消えた”ロシア出身の人気タレントの覚悟「プーチンはロシアも破壊している」
プーチンはウクライナとロシアを破壊
また、幼いころから母の実家がある極東のハバロフスクへ、祖父母(いまは他界)や親戚を訪ねて度々滞在している。そのため、ロシア語での会話ができる。
「おじいちゃんはプーチン支持でしたが、おばあちゃんは年金の支給年齢の引き上げがあってから反プーチンの立場。ですから、よく政治の話で喧嘩をしていました」
祖父のようなソ連崩壊後の極貧を味わった世代は、プーチン政権の22年間で経済が上向いたため、プーチン支持者が多いという。
「その時期に中国の経済発展があったことが大きな要因なのですが、プーチンのおかげと感じている人が多い。今回の侵攻も『プーチンだからこそ、全世界を恐れさせ、動かす力があるのだ』と言う人がいます。でも僕は、プーチンはウクライナだけでなく、ロシアも破壊していると思っています」
激化する情報戦により家庭内にも分断
ロシア国内では激しいインフレが進み、近々戒厳令が発令されるとの噂もある(2022年3月23日時点)。
ブラス氏は2014年のロシアによるクリミア併合以降、ロシア情勢に関心を持つようになり、ロシアの国営放送と欧米メディアの双方を見比べてきた。今回の軍事侵攻ではマスメディアだけでなく、SNSも大きな役割を果たしている。
「ウクライナでは、いま多くの若者がスマホで撮影した軍事侵攻の動画をロシアの友人に送っています。それがロシアでもSNSで拡散されており、若い世代では国営放送のプロパガンダを信じない人が多い。一方で、国営放送は『SNSの動画はフェイクである。こうやって作られた』と実際にフェイク動画を作って検証するような番組を盛んに流しています」
その結果、子供は親に「テレビを消して」と、親は子供に「SNSを見るな」といい、世代間で分断が起きてしまっているという。