「ジブリっぽいし、いいな」矢部太郎、絵本作家の父の絵に思い出すこと
「三輪車に乗ってる絵はジブリっぽいし、いいな」
――矢部さんのお父さまである絵本作家のやべみつのりさんが、子どもの頃の矢部さんの様子を絵日記のように描いた、非常に完成度の高い「たろうノート」も話題になりました。執筆の際の参考になったかと。
矢部:そうですね。父の絵を見ると、家具とかテーブルとかこたつとか、「こうだったな」と忘れていたことを思い出しました。父が粘土で焼いた、顔と手足が付いたお皿があって、「お菓子を入れてたな」とか。ノートにあるディテールから思い出すことはありました。
――お父さんが運転している三輪車の後ろの荷台に乗って、小さな矢部さんがワープする話も印象的です。ああした気持ちは自然に思い出したのでしょうか。
矢部:あのころ三輪車に乗っていたな、というところから、もう一段深い記憶というか、気持ちを思い出していきました。
三輪車に乗っている親子の絵って、今あまりないし、ノスタルジーもあっていいなと客観的に作品として構成している自分と、それとは別に「みんなは自転車に乗っていたな」「車がよかったな」といったすごく個人的な思いもあったりして、個人的だけれど普遍的なものになったらと。表紙も三輪車の絵と迷ったんです。「ジブリっぽくて懐かしいし、キャッチ―だよね」って最後まで悩みました(笑)。
カラテカ・入江慎也からのアドバイスも
――矢部さんはSNSも活用しています。私の知人も『ぼくのお父さん』を読んで感想をツイートしたら、すぐにリツイートしてくれたと喜んでいました。
矢部:『大家さんと僕』を出した時に、入江(慎也。「カラテカ」の相方)くんが「どんどんエゴサーチをして、いいねをリツイートしていったほうがいいいよ」とアドバイスしてくれたんです。もともとSNSはやってたんですけど、ほとんど活用してなくて、それで感想をリツイートするようになりました。いいことが書いてあるとも限らないんですけど(笑)、とにかくリツイートしてます。
――やってみてよかったですか?
矢部:どうなんですかね。実際、僕がリツイートしても、それで宣伝になっているのかはちょっと分かりません。ただ、たとえばお笑いだと、劇場でネタをやればお客さんの反応がすぐに分かりますが、漫画はなかなか反応が分からないところもあるから、SNSで初めて「あ、本当に読んでくれた人がいたんだ」と感想が読めるのはすごく嬉しいです。