評判作『大怪獣のあとしまつ』実現まで苦労と思わぬ反響。松竹×東映Pが語る
学生時代の生活は守ったほうがいい
中居:社会人になると、「趣味は1回忘れて仕事に向き合いましょう」と言う人がいますが、僕は嘘だと思っています。死ぬ気で学生時代の生活を守ったほうがいい。僕はブラックミュージックが大好きで、学生時代は1日3枚アルバムを聴いたり、1曲を1日中聴いて、ベースラインはこうでドラムはこうだと分解して楽しんだり、そういう生活をずっとしていました。
社会人になって好きな映画の仕事ができるようになりましたが、時間はないし、毎日大変。でもブラックミュージックを聴くことだけはやめませんでした。同じ趣味を持てる仲間ができたり、出会えなかった人に出会ったり。それが今の僕の人脈を豊かにしてくれていますし、しんどいときの逃げ場もできます。学生時代の生活は守ったほうがいい。
須藤:守ってまーす!(笑)。それと、僕は若い人には、できるだけ背伸びをしてもらいたいです。かつて僕も、映画でも小説でも酒でも、とにかく背伸びをして大人の会話に入ろうとかっこつけてうんちくを語ったりしていました(笑)。
周りの大人から見ると、「あいつ知りもしないのに」と思われていたかもしれませんが、でも必死に背伸びをしてやっていると、ある歳になったときに、実際にそこまで来ていられるんです。50歳を過ぎてワインを語りだすオヤジは痛いけど、20代はどんどん知ったかぶって背伸びしたほうがいい。それをニヤニヤして聞いてくれる大人がいる環境が最高です。今僕はそちらの大人側にならなきゃと思っています。
俳優が映画をプロデュースすること
――ところで、いま、山田孝之さんなど、俳優さんが映画プロデューサーをしたり監督を務めたりすることが増えています。そうした動きはどう映っていますか?
中居:僕は素晴らしいと思っています。ハリウッドでは以前から当たり前ですし、ブラッド・ピットをはじめ、製作会社を持ったりしていますよね。表に立っている人じゃないと見えないものってあるはずで、その人たちが裏方に来ることでよくなるものはあるといます。
須藤:そもそも長い映画の歴史から観ても、人気俳優が自分のスタジオを持って作ったりというのは当たり前のことでしたから。阪東妻三郎の阪妻スタジオとか。チャールズ・チャップリンのユナイテッド・アーティスツとかね。だから今の俳優さんたちの動きは自然な成り行きだし、すごく腑に落ちますよ。