情報の「8割」を捨てる人から成功する訳。何でも知っているが、実は危険。
情報をたくさん持っている人は一見すると賢そうに見えます。また、自身も情報をたくさん手元に入手すれば知識不足を補完でき、自信につながります。ところが、これがやっかいなところで、情報をたくさん持っておけば仕事で成果を出せるようになるでしょうか? たくさんインプットすればデキる人になれるでしょうか?
今回は、成果を出すビジネスパーソンほど、「情報を過剰にインプットしない」現実について、人材育成トレーナーおよびコンサルタントとして活躍する鈴木進介氏がお話します(以下、本人寄稿)。
仕事にも生きる「80対20の法則」
「80対20の法則」(2:8の法則とも言われる)という言葉を聞いたことがありますか? イタリアの経済学者であるビルフレッド・パレート氏(1848~1923)が19世紀末に発見した法則で、1880年代、ヨーロッパの経済統計から社会全体の8割の富が2割の富裕層・高額所得者に集中していることを見い出しました。
その由来については、園芸家でもあったパレートが、エンドウ豆の80%が20%のサヤから収穫されたことに着想を得たともいわれています(『野村総研HP・用語一覧』参照)。この法則の発見以来、仕事においてもさまざまな人の手でこの法則が応用されて、情報を見極めようとする動きが増えました。
・「売上の80%を占めているのは、20%の商品である」
・「成果の8割は、優秀な上位20%の社員が稼いでいる」
・「成果の80%は、20%の時間で得られる」
8割の情報は成果に関係しない現実
つまり、「成果を出す上で本当に大切なことは20%しかない」ということです。もちろん、これは傾向値のため80%と20%という数値には、絶対的な意味はありません。70%対30%の場合もあるでしょう。いずれにしろ、「ほとんど影響力がない多数」と「圧倒的な影響力を持つ少数」があった場合、どちらに力を注ぐのか? この思考パターンこそが、効率化を進め成果を最大にするコツです。
これは「情報」においても同じです。著者自身の経験則でも、成果につながる“使える情報”は全体の2割程度で、8割は不要という感覚です。たとえば、私は読書が好きで自身で読書会を主宰しているほど。自分のおすすめの本(ビジネス書やノンフィクション、歴史書など)を他のメンバーにプレゼンし、その後、質疑応答を繰り返しながら学びを深める形式です。
その際に、1つだけルールを設けています。本の内容をプレゼンするのではなく、主に自分が印象的だった箇所(もしくは、学びになった箇所)の「ベスト3」をプレゼンするというものです。