体育会系は「就活に有利」は本当か?コロナ禍での変化を当事者らに聞く
交友関係が限定的で情報不足に
ここで実際のアスリート大学生の声を聞いてみよう。
「大学3年の秋は部活の遠征先のホテルからインターンに参加していました。部活にも勉強にも就活にも集中できない状況でしたね」とは、射撃部に所属する明治大学4年の越田さん。
出席やレポートなど、ひと昔前に比べて大学生が学業に費やす時間は大きく増加しているが、それは彼らも例外ではない。
「1~2年生の時は練習や勉強で忙しく、就活よりも明日の試合の準備という感じで、目先のことでいっぱいいっぱいでした。試合は土日を中心に2週間に1回ほど。夏休みは合宿もあり、休みはほとんどなかったです」(越田さん)
アスリート学生には時間的にも精神的にも“キャンパスライフ”を楽しむ余裕がなく、就活に関する情報共有や相談ができる交友関係が狭い傾向もある。この春から設計事務所で働く越田さんも、精神的につらい時期もあったようだ。
「私は部活以外の交友がほぼなく、本格的に就活を開始した時点でインターン募集を締め切っていた企業も多かったです。就活支援センターなどもうまく利用できず、コロナ禍の就活は部活の先輩にも相談できない。オンライン面接にもかなり苦戦しました」
現役生もギャップに気づいていない
洋弓部に所属する立教大学2年の松居さんは、自身の進路や就活について考えるようなったことで不安を感じているという。
「就活早期化もオンライン化も両親の時代と状況が全然違うし、部活メンバーも就活や進路に対する意識はかなり希薄です。私は1年生の頃にグループワーク中心の必須授業のおかげで部活外の友人もいるので、学部の友人と就活について話すことが多いですね。
秋には東京六大学、春には関東学連のリーグ戦があり、就活シーズンに両立できるのか。現役の在学生にも『体育会系は何かしらコネとかあるんでしょ?』と思われがちですが、実際は厳しいですね」