「スーパードライ」発売36年で初フルリニューアルのワケを直撃。辛口への誤解も
復活の決め手は「飲みごたえとキレのよさ」
社内外総出で取り組んだ今回のフルリニューアルにおいて、大きく改良したのは、その味だという。発売以来、初めてレシピを変更し、「新・辛口」として完成させた。
「スーパードライの『辛口』という表現を『苦み』や『のどごし』と誤解される方もいるのですが、飲んだ瞬間の味の立ち上がり(飲みごたえ)からすぐにすっと後味が消えていくこと(キレ)を、『辛口』と表現しています。スーパードライの1番の特徴が、この『辛口』です。
そして今回は、レイトホッピング製法によるほのかなホップの香りと、発酵開始時の酵素添加量の抑制による発酵由来のビールらしい香りを加えることで、スーパードライ独自のキレの良さは維持しながら、飲みごたえを向上させました。
つまり、飲んだ瞬間の味のインパクトのトップを引き上げることで、飲んだ瞬間の飲みごたえが上がった分、味のキレまでの落差が広がったんです。飲んだ後、余計な後味や雑味が残らずスッキリとするキレの良さを実感していただけると思います。どなたにも飲みやすく、また、幅広い料理に合うビールだと思います」
過去には手痛い失敗も
とはいえ、リニューアルは時として「諸刃の剣」ともなりうる。過去にはリニューアルに失敗し、売り上げを大きく落とした商品もあった。今回は自社による調査やテストのほか、他社の商品や動向も参考にしたのかと尋ねたところ、予想外の回答が返ってきた。
「私たちが見るべきは常に、ライバルではなくお客様です。他社との競争や後追いはしません。というのも、過去の手痛い経験から学んでいるからです。
実は、過去終売した商品の中には、他社が生み出した市場へ参入しようと作った商品もありました。結果、終売となったのはお客様の心を動かすことができなかったからだと分析しています。消費者の声を聞かずに、競合の土俵にあがっても意味がない、ということです。
今は、お客様がビールを飲む時のニーズは何だろうというところから商品展開を始めます。ビールを飲むとき、どんなシチュエーションで、どんな気持ちになりたくて飲むのか。他社の後追いをするのではなく、お客様の気持ちに立脚をして、ブランドがどうあるべきかを考えることで初めて、お客様に支持していただけるブランドになると思います」