ニチレイ、「本格炒め炒飯」で30億円かけたハイリスクな投資に挑んだワケ
パッケージを半年で変えることも
本格炒め炒飯はニチレイフーズの他の商品に比べ、商品開発におけるチェック工程が非常に多いという。
「仮説を立てて企画を作り、進めていくのはもちろんのこと、CLT調査やモニター調査、試食の評価、アンケート結果などのさまざまなチェックをクリアし、手間暇を人一倍かけて商品開発を行っています。また、パッケージについても毎年変えており、場合によっては半年に1回の頻度で変更することもある。
米の飛び散り方や肉の見え方など、細かい見た目をCGで調整しながら、消費者のイメージを崩さず、手に取ってもらえるようなパッケージデザインを意識しています。実は、パッケージに視認性調査を実施しており、消費者がパッケージのどこに目が引かれているのかを調べるなども徹底して分析するようにしているんです」
千葉みなとにあるニチレイフーズ技術開発センターには、必要に応じてプロの料理人を招き、鍋の振り方や美味しい炒飯の作り方を指導してもらっているそうだ。
30億円を投資しての大リニューアル
このような状況のなか、エポックメイキングになったのが2015年に敢行したリニューアルだ。これまでも、売り上げは順調に伸びている状況だったが、ブランド15周年を機にさらに高みを目指し、「一気に飛躍させたい」と思い切った大改革の実行に踏み切った。
リニューアルにかけた投資額は約30億円。失敗すれば、大きな赤字にも繋がりかねないハイリスクな投資だが、「本格炒め炒飯」は、社運を背負った看板商品であることに変わりなかったので、ブランド史上、類を見ないほどの大掛かりなリニューアルをする意思決定をした」と竹本氏は語る。
「2015年当時は、他社も相次いで冷凍炒飯市場へ参入し、さまざまな商品を発売していました。いわゆる“冷凍炒飯戦争”と呼ばれていた時代に、頭ひとつ抜きん出るためには、既存の本格炒め炒飯をさらに磨きをかけないといけない。そこで、調理工程や原材料の見直し、設備投資などあらゆる面から改革に着手していったんです」