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前澤友作氏創業の「養育費保証サービス」めぐり係争。“日本一稼ぐ弁護士”を相手に双方の主張は

ビジネス

 日本屈指の実業家で、宇宙滞在も果たした前澤友作氏。「お金配り」でも局地的人気を博している同氏が創設した事業をめぐり、係争が生じていることをご存知だろうか。

小さな一歩

※画像は小さな一歩のホームページより

 その事業とは、養育費保証サービス(※)の「株式会社小さな一歩(以下、一歩社)」。このほど、その一歩社と提携する「ひとり親支援法律事務所」代表の弁護士・福永活也氏が原告となり、業務妨害を受けたとして、資格試験講師の山口三尊氏に対して50万円の損害賠償を求める訴えを東京地裁に起こした。

 ところが、この山口氏は“一歩も引かない”姿勢を示し、「一歩社の違法性」を争点として徹底抗戦すると大々的に表明したのである。

※編集部註
養育費保証サービス:養育費を受け取れていないひとり親の依頼を受け、養育費を立て替えつつ、元パートナーから回収するサービス。依頼者のひとり親は、サービス業者に一定の「保証料」を支払う。

司法記者クラブでの会見の中身

 第一回口頭弁論がおこなわれた1月18日、山口氏は自ら東京・霞が関の司法記者クラブに申請したうえで弁護人をつけずに単身で記者会見に臨み、

「一歩社と福永弁護士は、日弁連(日本弁護士連合会)からの注意喚起があったにもかかわらず業務を続けている。法テラスを頼ったり、直に安い法律相談にいったりしたほうがいいはずのシングルマザーたちが、一歩社を仲介することによって保証費を余計に取られる恐れがある」などと主張した。

 その主張などを総合した詳しい経緯はこうだ。

前澤氏の注目度の高さで問題が顕在化

一歩社

司法記者クラブで記者会見する山口三尊氏

 一歩社は20年6月、前澤氏により「養育費あんしん受け取りサービス」として創設された。だが、前澤氏の事業に限った話ではないが、養育費保証と回収業の全般に対して同年7月に日弁連から「非弁行為の疑いがある」と注意喚起があった。簡単に言えば、弁護士以外が養育費請求の権利を譲り受けてビジネス化することが問題になったのだ

 この場合、一歩社は弁護士法73条(譲り受けた権利の実行を業とすることの禁止)にふれる可能性があり、さらに当時、一歩社から回収などを委任されていた大本総合法律事務所は、弁護士職務基本規程第11条(非弁護士との提携)にあたる恐れがあった。

 ちなみに養育費保証と回収の問題にあたっては現在、法務省でも「営利を前提とした第三者が介在」することへの是非が検討され続けている。前澤氏の注目度の高さによって、問題が顕在化したとも言えるだろう。

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