コロナ禍でインバウンド需要がほぼ完全に消失した2年間。国内旅行・出張の自粛で大打撃を受けたのが、ホテル業界だ。政府が1.7兆円を計上した「Go Toトラベルキャンペーン」も、感染者数増加で一時休止になるなど、先行きは不透明なままだ。そんな苦境にあって、人気を集めているのが、リーズナブルな価格でグループ宿泊できる「アパートメントホテル」。

熊本といえば、どこにでもいる「くまモン」

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　2021年11月18日には物流事業開発などを行う霞ヶ関キャピタル株式会社が「FAV HOTEL KUMAMOTO」をオープンした。これまで三重県伊勢市、岐阜県高山市、香川県高松市などに展開してきた自社ホテルブランド「FAV HOTEL」が九州地方に初進出となる。

　今回は霞ヶ関キャピタル株式会社でアパートメントホテル開発に携わる淺井佳さんと、金子玲菜さんに、その狙いについて話を聞くとともに、実際に泊まってみた感想をレポートする。

閑静なエリアにあるホテル

　FAV HOTEL KUMAMOTOがあるのは熊本市電「呉服町駅」から徒歩3分。市街地のど真ん中からは5～10分ほど外れており、近くを熊本城の内堀としても活用されている坪井川が流れる閑静なエリアだ。通りをはさんでセブン-イレブンがあるのも有難い。

やってきましたFAV HOTEL KUMAMOTO

　客室はもっとも手頃なスーペリアツインルーム（30平米・3名）から、今回宿泊した最上級のエグゼクティブバンクルーム（35平米・6名）まで4タイプの全67室。

　驚くのはその料金だ。エグゼクティブバンクルームでも6名利用であれば1泊2700円／1人～利用できる（※公式HPより。宿泊時期により価格は変動）。何人で泊まっても部屋自体でかかる料金は一定。つまり大人数であれば大人数であるほどお得になる仕組みだ。

さまざまな省人化スキームを実現

エグゼクティブバンクルームにはクイーンベッド2台、シングル2台が備え付けられている

　かなり安く宿泊できるが、ウラにはさまざまな企業努力がある。まず1階ロビーには15時以降いつでもチェックインできる自動チェックイン機が設置されており、レストラン閉館時間の22時以降はフロントが無人になる。

「ホテル内にテナントではない、共同事業者として飲食店を誘致し、オペレーションに協力してもらうなどの工夫も行っています。ホテルオペレーションを原則1人で、深夜帯はゼロ人でも対応できるようにする省人化スキームを実現しました」（淺井さん）

　また、市街地からやや離れた立地にも、淺井さんによれば理由があるそうだ。

「価格帯を1室2万円以下で、お客様4人なら1人5000円というコンセンサス（総意）でビジネスを進めています。そのため人気の1等地ではなく、1.5等地と呼ばれる場所をあえて選んでいます。ホテルは土地・建物代、人件費が支出の大きな割合をしめるビジネスなので、いかにそれらを圧縮するのが宿泊費を下げるポイントだと考えています」