コロナでも業績堅調の「アルペン」。冬スポーツではない“意外な稼ぎ頭”があった
ウィンタースポーツは暖冬で…
2018/6から2021/6期の売上高、利益は以下の通りです。
売上高:2277億円→2283億円→2179億円→2332億円
営業利益:30.6億円→15.2億円→41.3億円→150.9億円
最終利益:19.8億円→▲9.4億円→0.2億円→107.7億円
2019/6期は健康志向の高まりやアウトドア人気によって、一般スポーツ用品やアウトドア関連商品の売上高が伸びたものの、暖冬の影響によってウィンタースポーツ関連の売上が減少しました。ゴルフ関連も好調だった前年の反動や気候変動の影響によって低調となり、全社売上高は前年とほぼ変わらない水準となりました。ただ、利益面では競合やECとの価格競争が影響し、最終赤字となっています。
翌2020/6期はコロナの影響で第4四半期単体の業績が大幅に悪化し、売上高は4%の減収となりました。スポーツイベントの自粛や部活動の休止、ゴルフの自粛などが影響しています。ウィンターシーズンはぎりぎりコロナ禍を免れましたが、ふたたび記録的な暖冬によって関連商品の売上が大幅に減ってしまったようです。
しかしながら売上の減少に応じて機動的に販管費を抑えた施策が成功し、結果としてこの年は利益改善につながりました。業種、企業にもよりますがコロナの感染者数自体はその後増え続けるものの、業績の悪化度合は2020年4、5月がピークという企業が多数見られます。今思えば当時はその後の感染拡大時よりも町が閑散としていた印象があります。
ゴルフ初心者向けのサポート強化が功を奏す
さて、2021/6期は増収増益となりました。売上高は7%増、営業利益は2.65倍、最終利益は100億円超えといったところです。スポーツイベントや部活動の自粛は依然続いていましたが、繁華街やショッピング施設、観光地が避けられる一方、感染リスクの少ない娯楽として消費者がスポーツに流れることに。
一般スポーツ用品の売上高は3%増え、ゴルフ関連に至っては18%の増収幅を記録しました。コロナをきっかけにゴルフを始めた消費者も多く、アルペンでは初心者を対象としたサポートを強化しました。
ウィンター関連は近年の暖冬による業績悪化を防ぐべく商品取扱店舗を縮小したことが原因で減収となりました。が、販売を続けた店舗では好調だったようです。そして利益面では在庫が改善したほかコロナを機に加速した販管費削減の取り組みが功を奏し、営業利益、最終利益共に大きく増加しました。