コロナでも業績堅調の「アルペン」。冬スポーツではない“意外な稼ぎ頭”があった
「Sports Alpen」「GOLF5」「SPORTS DEPO」を運営する株式会社アルペン。スキーやスノーボードなどウインタースポーツのイメージがあるかと思いますが、決算資料をみると売上高に対する貢献度は低く、意外にも冬に稼ぐ企業ではないようです。
コロナ禍ではレジャー・スキー業界が大打撃を受けたものの、実はアルペンの売上高は増加しているのです。一体アルペンはどんな稼ぎ方をしているのでしょうか。
創業6年でスポーツ専門店で国内1位に
株式会社アルペンの沿革を見ていきましょう。同社は1979年、名古屋のスポーツ用品店としてスタートしました。1983年には同じ愛知県内にゴルフ専門店の「GOLF5」を開店し、早くも1985年にはスポーツ専門店の売上高で日本1位の企業に。1992年には売上高が1000億円を突破し、1997年には大型スポーツ用品店「SPORTS DEPO」の1号店を開店しました。
2000年にはネット販売を始めます。2006年には東証1部に上場し、2013年には売上高が2000億円を突破しました。近年ではYouTubeでの認知度が高いファッションEC「ロコンド」と資本業務提携をするほか、ゴルフ場の吸収合併を進め、規模の拡大に努めています。
こうして見ると同社は創立当初からスポーツ、ゴルフ用品店を運営していますが、消費者の間では「アルペン=スキー用品店」という認識が強い人もいるかと思います。これは1990年代から2000年代にかけて公開されたCMの影響が大きく、広瀬香美さんの歌を起用したCMが冬を印象づけました。
ウィンタースポーツの売上高は全体の2%
特に1994年公開の『ロマンスの神様』は大ヒットとなり、歌の印税の一部がアルペンの収入となっていたため印税がCM経費を上回ったそうです。しかし実際に同社は「Sports Alpen」以外にも「SPORTS DEPO」や「GOLF 5」を展開するなど決してウィンタースポーツだけに特化した企業ではありません。
社名はアルペンですが同社が運営する「Sports Alpen」は50店舗に過ぎず、「GOLF5」は195店舗、総合スポーツ用品店の「SPORTS DEPO」は146店舗を占めます(2021/11末時点)。各商品分野の売上高が全体に占める割合はウィンターが2.8%に過ぎず、ゴルフは38.2%、一般スポーツが57.3%です(2021/6期)。
なおスポーツ用品の小売以外にもゴルフ場やフィットネスクラブの経営を行っていますが事業規模は小さいため、決算資料上、同社は小売の単一セグメントとなっています。さて、決算資料によると近年の売上高は伸び悩んでいましたがコロナ禍でV字回復しました。