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不動産屋さんが選ぶ「クソ物件オブザイヤー2021」隠れた秀作2選。書類送検された企業も

ビジネス

住友不動産販売での「大量粛清」

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※画像は「rea」さんのツイッターより

 親会社である住友不動産の主導で、コンプライアンス改革が絶賛進行中なのが「住友不動産販売」です。ちなみに私は住友不動産販売さんが大好きです。「レントロール誤記載」しようが、本来なら売主が自筆する「物件状況等報告書」を自分で書いちゃおうが(※参照:「デイリー新潮」2021.9.28)。

 そう僕たち不動産屋さんは、相場を度外視した金額にまで売主を“こなして”、割安で物件を買わせてくれる住友不動産販売さんが大好きなのです。しかし、「ステップオークション」はいただけない!!

 簡単に説明すると「ステップオークション」とは、住友不動産販売さんが媒介を受けた不動産を、不動産業者に売却する際に“必ず”通すネット上の入札システムです。「オークションなら、透明で公正な不動産取引で素晴らしいやんけ!」と思いますか? 実は、個人の売主にしてみたら、大切なご自身の不動産を、懇意の業者に不当に安く売らされる可能性が下がるシステムでもあります。

顧客よりコンプライアンス徹底の決意表明

 わざわざ他社と入札までして不動産販売さんから物件を仕入れようとする不動産業者は減りますし、やっと落札したとしても、その物件を再販する際、住友不動産販売さんに専任媒介を頼む(=専任返し)をしません。

「それじゃ、不動産販売さんは自分で自分の首絞めてるんですか?」。この透明で公正な不動産取引のシステムに共感して不動産販売さんに売却の依頼をする個人の売主たちが支払う手数料が、これまで“専任返し”などで得られていた手数料を上回らないならそのとおりです。

 このシステムと現在の綱紀(こうき)粛清は「手数料が減ろうが、顧客のためにコンプライアンスを徹底する、自身の利益よりも顧客の利益を優先する」という不動産販売さんの決意の表明なのです。不動産販売さんに「うちは『ステップオークション』いうのやってて、買い手の不動産業者との癒着なし、ガチ入札で一番高い値段で売れます!」と言われて、一般の家を売りたい人たちはどこまでピンと来るのでしょうか。

 いずれにせよ、親会社の水の清きに棲みかねて、たくさんの僕の大好きな住友不動産販売マンさんが現在、愛すべき会社を脱走しています。あかんもう涙で何も見えない。

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 今年もたくさんの投稿が寄せられた「クソ物件オブザイヤー」。あわせて今年はタワーマンションの光と影を短文で描いた「第一回タワマン文学大賞」も大変好評だったとか。今年で8年目という、長い間に移り変わる世の中でも、お金を儲けたろうという人の欲望だけは永遠不変の姿なのかもしれません。

<構成/栗林 篤>

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