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光宗薫、活動休止からボールペン画家に「万年床で1日15時間描いた」/2021年上半期BEST10

暮らし

無印良品のボールペンで15時間

――今こうして光宗さんの描いた絵を間近で見ると、本当にとてつもなく細密です。この超細密なボールペン画にこだわる理由を教えてください。

光宗:ただただ時間のかかる絵を描くのが好きなんだと思います。絵の制作に使っている道具は主に無印良品のポリカーボネイトボールペン0.7mmなのですが、とてもシンプルなボールペンなので、筆圧に細微な強弱を加えてコントロールしています。

 作業に入ると、就寝と食事をとる時間以外は描き続けるので、1日15時間くらいは描いていると思います。そのペースで作業しても「続・虹色伝説 海(仮)」という作品は、完成まで2か月ほどかかりました。制作中は海面の波を延々描いていた記憶が(笑)。

光宗薫

「続・虹色伝説 海(仮)」 ©光宗薫

――ボールペン画で色彩に挑戦することは想定していますか。

光宗:うーん……。過去に何度か自分の描いたボールペン画に色を入れたことがあるのですが、その時は「うわっ絵が汚れた!」っていうマイナスの感情が湧き出てしまって。

 私がボールペンでどれだけ丁寧に描いても、たったひとつ色が入ってしまうだけで、視点がズレるというか、色の持つインパクトや騒がしさに絵全体の世界観が一変してしまうんです。色にはそれくらいパワーがあるので。だから他の人の絵で色を見るのは好きですけど、私の絵には必要ないものだと感じます。

『プレバト!!』出演が創作の刺激に

光宗薫

――ところで「プレバト!!」(毎日放送)で披露した光宗さんの水彩画が、満点査定を獲得して優勝しました。新たなフィールドでの活躍がめざましいですね。

光宗:本当にありがたいことです。でも、テレビのお仕事としての創作活動ですから、『プレバト!!』さんで描かせてもらう絵は水彩画やスプレーアートなど、番組の企画に沿った作品ですが良い刺激をもたらしてくれていると感じています。

 こうして今の私があるのも、ある意味長年苦しんでいる摂食障害のおかげだというところもあって。だからいつか「摂食障害になってよかった」と心から感じてみたいです。

<取材・文/永田明輝 撮影/山田耕司>

【光宗薫】
1993年生まれ、大阪出身。2011年頃より独学で絵を描き始める。絵に使用する画材は主に無印良品のポリカーボネイトボールペン0.7mmのみ。昆虫や自身の姿、空想の生物等を緻密に描き込む。
Twitter:@mtmnkor
Instagram:@mtmnkor

気候変動が進む地球の環境問題どうにかして。そんな雑食系ライター

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