「若者の政治離れ」という傲慢な声と“維新”の躍進。衆院選を今さら振り返る
関西の友人に「維新の強さ」を聞いてみよう
大きく議席を増やしたのは、日本維新の会だった。前回との比較で、議席数は11議席から41議席と約4倍に増え、第三党への躍進を遂げた。関西発の政党でありながら、全国的な存在感をみせた。
日本維新の会の躍進は、関西、特に大阪と他のエリアで分けて議論しなくてはならない。大阪では地元の政党として、大阪府、大阪市などの首長を務める他、地元に根付いた活動をしていた。このあたりが、全国区には伝わりきっておらず、「なぜ、維新は強いのか?」という声が何度も上がった。
実際、大阪府などのコロナ対応は十分だと言えるのか疑問にも思った。このあたり、もし、フランクに政治の話をできる友人が関西にいたのなら、「なぜ、維新は強いのか?」と質問してみると、温度差、肌感覚がわかるだろう。
自民党・東京以外の何かを求める気持ち
私が関西在住の友人たちに聞いたところ、「逆に、なんで維新以外を選ぶの?」と言われた。前述したとおり、地元に根付き、確実に改革を進めていると支持者は評価している。吉村洋文大阪府知事がコロナ対策で外野からみていると、明らかに失策だと思える部分や、例のイソジン発言など謎の言動もあったが、「吉村さんは頑張っている」と評価されるのだという。
もっとも、関西、特に大阪では圧勝という状態だったが、地方への広がりはまだまだこれからだ。東京でも比例復活で2議席を獲得したし、投票結果で2位に食い込んだ選挙区もあったが、小選挙区では勝っていない。地方への広がりもこれからだ。とはいえ、第三党に躍進し、来年の参議院選など、今後の広がりを感じる結果となった。
この躍進を支えていたのは、人びとの間にあった「自民党ではない何か」「東京ではない何か」へと期待する気持ちだったのではないか。メディアを通して吉村大阪府知事がコロナ対応に奮闘する姿などを見て、国の中心地・東京の政治家たちの不祥事に嫌気が差した人びとの票が集まった可能性もある。