苦境の串カツ田中でアイドルが接客。“異色の店舗”誕生の舞台裏を聞く
コロナ禍の影響で飲食業界は苦境に立たされてきた。人びとの行動制限、飲食店の時短制限が解除されつつある今も、予断を許さない。そんな中で、「アイドル」に新たな活路を見出すチェーン店があった。
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全国300店舗をかまえる「串カツ田中」だ。2021年6月に東京・秋葉原のメイン通りにある従来店舗をリニューアルし「アキバあいどる店(@kushi_akiba)」をオープン。
店舗を運営するまでの経緯、ウィズコロナへの思いとは――。同店を企画した株式会社串カツ田中 営業本部 東日本営業部長の谷川佑隆氏、そして同店で働くアイドル店員にも聞いた。
従来とは異なるイメージの店舗
串カツ田中といえば、油の匂いもつまみに、串カツを食べながらお酒を飲める“大衆居酒屋”の雰囲気が持ち味だ。
しかし、アキバあいどる店に足を運んでみると、他店舗とは空気感が異なる。店舗独自の限定メニューも提供するお店では、現役アイドルや将来の活躍を夢見るアイドルの卵たちが働き、彼女たちに会おうとファンも足繁く訪れる。
入り口右手にあるのは、スタッフとチェキ撮影できるスポットが。かわいらしくデコレーションされた店内では、お客さんとスタッフの会話も聞こえてくる。従来のイメージを覆す店舗づくりの原点は、コロナ禍における大都市圏の店舗ならではの悩みだった。
コロナで売上6割減した店舗も
「コロナ禍で飲食店が厳しい状況へ陥っていたのは、誰もが痛感していたことだろうと思います。なかでも、リモートワーク化もあり、会社員の姿を見かけなくなった都心の店舗はその影響が顕著でした。例えば、新宿3丁目店では2019年5月と2020年5月の比較では売り上げが66.3%減少しました。
もちろん秋葉原の店舗も同様で、2020年4月に初めて緊急事態宣言が発出されて以降は試行錯誤を重ねてきました。ただ、店頭での野菜販売や『母の日』にちなむカーネーション販売などを行いましたが、住宅街に近い郊外店舗ほど効果はなかったです。その打開策として閃いたのがアイドルをコンセプトにする店舗展開でした」(谷川氏)