関西スーパー買収劇、H2Oとオーケーの対立が泥沼化。“百貨店の凋落”が背景に
売上規模が大きいほど利益率が上がる業態
スーパーは規模の経済が働きやすいという特性があります。規模の経済とは、生産規模を高めることで単位当たりのコストが低減されることを指します。スーパーであれば、店舗数を拡大すればそれだけ利益が出るということです。
グラフは売上規模による営業利益率の違いを示したものです。2020年のスーパーの平均営業利益率は1%を下回っています。しかし、売上規模が1000億円以上になると、1.98%に上昇します。300億~999億円までで1.55%です。30億~99億円までのスーパーは0.34%、それ以下は赤字です。
これは大量に仕入れを行うことによってスーパーの価格交渉力が上がり、安く仕入れられることがあります。また、物流網を統一して配送料を抑えられることも背景にあります。エイチ・ツー・オーの統合案は、オーケーのような具体的な買収後の戦略が示されていません。
売上規模による営業利益率の違い
しかし、同一エリア内のスーパーを複数経営することにより、仕入れや配送を統合することでコスト削減効果は図りやすくなります。
エイチ・ツー・オーはイズミヤと阪急オアシスの全株を関西スーパーに譲渡しました。支配力が強まった関西スーパーは、いわば2社を思うように動かせるわけです。
すなわち、利益率が高められる目途はある程度ついていると考えられます。エイチ・ツー・オー主導により、凄まじい労力がかかる大規模なテコ入れ策をするまでもないのです。
規模の経済が働くのはオーケーも同じです。関西圏へ進出への足掛かりも得られることから、何としてでも手に入れたいでしょう。稀に見る激しい買収合戦はどちらに転ぶのか。注目を集めています。
<TEXT/中小企業コンサルタント フジモトヨシミチ>