28歳商社マンが語る、海外勤務の悲哀。時差のせいで深夜にオンライン会議が
治安が悪く、会議終了後の帰宅も命がけ
でも、本社との国際オンライン会議が嫌なのは、単に現地時間で深夜になるだけではないようです。彼が駐在していたサンパウロは治安が悪く、日中でも銃器を用いた凶悪事件が多発。当然、深夜になれば昼間の何十倍も危険な状態となり、会議のある日はその中での帰宅を強いられていたそうです。
「会社から当時住んでいたコンドミニアムまでは車で20分くらい。車は運転手付きで送迎してくれるからそこは楽ですが、深夜は言い方は悪いけど、路上にいる人全員が悪人に見えてくる。だって普通の善良なブラジル人はそんな時間に街角に立っていませんから! 幸いにして赴任中、襲われるようなことは1度もなかったとはいえ、なんとも言えない緊張感が常にありました」
ただし、怖かったのは現地採用のブラジル人運転手も同じだったらしく、オンライン会議のある日の帰りは毎回猛スピード。日本ならスピード違反で警察に捕まってもおかしくなかったくらいでしたが、馬場さんも注意する気にはなれなかったといいます。
「むしろ、ありがたかったくらい(笑)。コンドミニアムは入口が門で閉ざされ、24時間警備員が常駐して安全だったため、自宅に戻って冷蔵庫から缶ビール取り出し、ひとくちクイッと飲んで、それでようやく緊張が解けました。あの1杯はすごく美味かったですけど、そのためにはあんな怖い思いをしなきゃならないので正直2度とゴメンですね(笑)」
コロナ禍での帰国命令にホッ
新型コロナの感染拡大を受け、予定していた駐在期間を半分残して帰国を命じられることになってしまったそうですが、「深夜残業がなくなったのはラッキー」と言います。
「治安のいい国なら会議が深夜になっても構わなかったんですけど、さすがにブラジルじゃ怖いです。時間を変更するか、自宅のパソコンからでも参加OKにするとかもっと駐在員のことを考えてほしいものですよ」
日本ではそんなことは気にしませんが、働く国によっては大変リスクの高い深夜残業。確かに、治安の悪い国で夜遅くまで仕事をさせるのは勘弁してもらいたいものですね。
<TEXT/トシタカマサ イラスト/パウロタスク(@paultaskart)>
-[時間に関するトラブル]-