中国のウイグル族弾圧に日本政府は“弱腰”だが…あえて「賢明」だと言えるワケ
尖閣諸島での中国政府の本当の狙い
中国と世界経済、もしくは中国と西側諸国をデカップリング(分離)するのは、容易にできることではない。米中間が悪化していても中国と自由主義諸国の需給関係は続いている。また、そう簡単に中国に生産拠点を置いている企業の活動を制限することはできない。
かつて、いわゆる「侵略」の解釈を巡って日中関係が悪化したことがあった。その折、中国では日本製品の不買運動が起こり、セブン-イレブンなど日本の商業施設が市民に襲われ、中国在駐の日本企業社員や大使館員が一時帰国するという事態になった。
こうしたことを考慮すれば、中国のウイグル弾圧を日本政府が「ジェノサイド」「人道に対する罪」と、軽々に認定することはできないということだ。中国の本当の狙いは、尖閣諸島を領有化することではなく、第一列島線を突破して第二列島線まで海洋覇権を広げることだ。
軍事力を強化するチャンス
そうなれば日本の領海が脅かされることになるので、日本と中国は軍事衝突する可能性がある。そうした事態に備えて、日本はアメリカに頼らずに日本の領土・領海を守るために軍事力を強化する必要があり、アメリカもそれを求めているだろう。
日本はドイツと同様に第二次世界大戦で敗戦国となったので、自衛のための軍事力しか持つことを許されなかった。だが、中国の覇権行為がエスカレートするにつれて、日本の安全保障の環境を再整備する必要があり、今、日本は軍事力を強化するチャンスを迎えていると言える。
日本の軍事力が強まれば、アメリカに対する日本の立場も強まるし、中国もそう簡単に反日カードを切ることができなくなるはずだ。
<TEXT/エコノミスト エミン・ユルマズ>