ノンキャリア官僚だった「戦後最も偉大な総理大臣」が過ごした“ドサ回りの日々”
日立製作所内定を蹴って大蔵省に復帰
ただ、池田はあきらめきれなかったようで、大蔵省に電話をかけました。
この電話を機に秘書課長の谷口恒二の肝いりで池田は大蔵省に戻ることになります。
なお谷口恒二は一九一二~一六年に主計局長、一九一六~一九年に大蔵次官という経歴で、超重要人物のはずなのですが、残念ながら情報がほとんどありません。大蔵省史では単に「池田勇人を呼び戻した課長」とだけ記されています。本来ならば二年の休暇期限が切れた池田は役所に復帰できないのですが、谷口がどうにかしたとのことです。
第3回⇒財務官僚を今も苦しめる「馬場財政」の悪夢。戦時を生きた“偉大な総理”の実像に続く
<TEXT/憲政史研究者 倉山満>