交通事故で社内不倫が発覚した20代社員を左遷。会社の判断は本当に正しいのか
状況によっては退職勧奨をすることも
「交通事故については業務中に繰り返している以上、就業規則にもとづき、何らかの処分をせざるを得ない可能性が高い。おそらく、1度目の交通事故の時にも少なくとも注意指導をしてきたはず。あるいは、安全教育もあらためて行っていたと思う。
それでもなおも事故を起こしたのだから、会社の規模や経営層の考えにより異なるが、社員数150人ならば『適性がない』として営業職から外し、他部署へ配置転換する場合もあるだろう。社員が数十人規模で配置転換が難しいならば、状況いかんでは、退職勧奨をすることもありうるのかもしれない」
不倫は原則、プライベートの問題として
大津氏は「社員間の不倫であろうとも、労働法の考え方では原則としてプライベートのこととなる」と強調する。
「不倫をしていたという事実のみをもって2人を処分したり、退職勧奨をしたり、さらには解雇にすることは避けるべきと私は思う。ただし、それが業務において具体的な問題が生じるなど、会社の正常な業務運営を阻害し、その結果として企業に損害を与えたような状況であれば、懲戒処分も有効とされる場合があるでしょう。
今回の事案に関して会社の対応策を考えるならば、2人が同じ車に乗り、その時間帯にルートセールスをすることに業務上の必要性が本当にあったのかどうか。仮にドライブなどと考えたうえでの行動ならば、職務専念義務違反に当たる可能性があるであろう。いずれにしても、噂レベルの話で判断するのではなく、本人たちの弁明も含め、事実に基づいて2人への対処は決めるべき。
こういうケースの場合、職場で噂が広まってしまい、同僚たちが例えば一緒に仕事をすることを拒否するといったことも少なくない。よって、懲戒処分としてではなく、通常の異動として、男性と女性の双方もしくは片方を配置転換にするケースが多いだろう。ごく一部に男性社員を残し、女性社員に退職勧奨をして辞めさせる場合もあるが、この対応は好ましくない。男女差別的な取り扱いでもあり、問題がさらに拡大することは避けられないであろう」