藤原季節「立ってるだけで怖い」一人娘を失った父親役の古田新太に感激
たまに蓋を外して、感情に向き合う
――確かに普段、みんなたくさんの問題を抱えていても、表面上は分かりませんもんね。
藤原:悲しくても笑うし。それを芝居で表現するのはものすごく難しいことなので、それでもそこにチャレンジしていきたいという意味では、向き合い方が変わっているのかなと思います。
一方で変えたくない部分もあります。たとえば悲しみが土台にあるとき、そこに僕自身としてどれだけ向き合うかということは変えたくないです。「蓋を外したら悲しいことや許せないことっていっぱいあるよね」ということを、ちゃんとたまに見つめることを忘れずにいたいです。
――映画が公開になりました。藤原さんは完成作をご覧になっていかがでしたか?
藤原:ひとりの人間の死を、2時間かけてみんなで悼む作品だと思いました。一緒に少女の死を悼む時間。そうした時間って必要なんだと思います。ニュースで誰かが亡くなっても次々とくる新しい情報やニュースに更新されていって。
そんなインスタントなものでいいのかなという思いや、自分のなかで蓄積してきたネガティブな感情が、充さんの涙で浄化されたような気がして、ラストシーンまで観たときに、自分の心が軽くなったような感じがありました。
<取材・文・撮影/望月ふみ ヘアメイク/須賀元子 スタイリスト/八木啓紀>