藤原季節「立ってるだけで怖い」一人娘を失った父親役の古田新太に感激
真面目な古田さんの姿も目撃していた
――本人は真面目な姿を話されるのは苦手かもしれませんね。
藤原:嫌がるでしょうね……。涙を流すシーンでも「あんなの余裕だよ、蛇口捻れば一発だよ」とか言っていましたけど、実際には演技にはすごく真面目に向かっていました(笑)。
――実は藤原さんにはbizSPA!フレッシュは以前にも取材させていただいて、そのとき「ここから僕はかなり変わると思います」とお話しされてたんです。
藤原:『his』のときに取材していただいたんですよね。「ただの同性愛者の映画です」っていう見出しの記事ですよね。
――え、すごい! タイトルまで覚えてらっしゃるんですか。
藤原:いろいろ考えながらお話ししていたので、よく覚えてます。
登場人物が、日常の地続きであって欲しい
――そうなんですね。ありがとうございます。「ここから僕はかなり変わる」と話されていて、そこからたくさんの話題作や主演作にも出てきました。当時、大河ドラマへの出演が決まっていたとかではないですよね。
藤原:全然決まってませんでした。当時、変わっていくとお話ししたのは、お芝居や映画、物語への向き合い方が変わっていくと実感していたときなので、仕事が忙しくなるとかは思ってませんでしたし、今もまだ全然忙しくないです。
――実際には、どんな部分が変化していると感じていますか?
藤原:映画自体を特別視しなくなったといいますか、映画の登場人物が、日常の地続きであって欲しいとより強く思うようになりました。カメラが回っているからと、過剰に感情が反応してしまう部分があるのですが、今の僕が目指しているのは、日常の感情の揺れから外れないこと。悲しい出来事があったとして、「悲しいです」という顔で生活している人はいないですよね。
『his』のときは、自分のなかのいろんな感情が表に溢れ出しすぎていた気がします。もちろん、あれはあのときにしかできなかった演技だと思いますが、今の僕は、溢れそうになるものを隠して、ただその場でいられるようになりたいです。