ヤマト独り勝ちの宅配便業界。「佐川&日本郵便」タッグで牙城を崩せるか
メルカリ需要を巧みに拾い上げたネコポス
メルカリは流通総額を年々増やしており、2021年6月期は前年比25.4%増の7844億円となりました。2020年6月期の流通総額は6257億円で前年比27.7%増となっており、猛烈な勢いで拡大しています。メルカリにおいてネコポス有利な状況が続くことは間違いありません。
流通総額が増加しているのは、競合であるヤフオクも同じです。ヤフオクを含むリユース事業の2022年第1四半期の取扱高は2283億円でした。前期比0.5%の増加です。
運営元であるZホールディングスは2020年6月にヤマト運輸と提携し、クロネコヤマトが受注から出荷、配送業務までを代行するサービスを開始しました。
これは「Yahoo!ショッピング」と「PayPayモール」の各ストアの配送業務を軽減することが目的。Zホールディングスは傘下にZOZOやアスクル、LINEギフトなどのECサービスを提供しており、ヤマトは巨大EC企業囲い込みの足掛かりをつかんだことになります。
お互いの弱点を補う施策
佐川急便と日本郵便の提携はヤマト運輸の動きをけん制する狙いがあります。佐川急便は苦手分野としていた小型荷物サービスの幅を広げました。日本郵便はすでに構築している物流網を活かしながら、佐川急便経由の荷物によって取扱個数を増やすことができます。
また、今回の提携においては、日本郵便のクール便の配送が佐川急便に委託されるようになります。日本郵便はクール便が弱点のひとつでした。佐川急便がそれを補完することとなります。物流を支える2大企業の協業が、業界の勢力図を塗り替えることができるのか。注目が集まるポイントです。
ECに欠かすことのできない物流は競争が激しい分野であり、再編や提携、M&Aが繰り返されています。
日本郵政は2021年3月に楽天グループと業務提携契約を締結し、日本郵便50.1%、楽天49.9%の出資比率でJP楽天ロジスティクス株式会社を設立します。共同の物流拠点を構築し、配送システムや受取サービスを統合することでユーザーの利便性を上げて楽天とゆうパックの利用拡大を促す計画です。
今後もこうした動きは各社で加速するものと予想できます。
<TEXT/中小企業コンサルタント フジモトヨシミチ>