みずほ銀行、システム障害の原因特定できず…“甘すぎる対応”と、問題点を解説
システム障害は技術的な問題だけではない
また、システム障害に対する対応の遅さや甘さも目立ちます。先ほどの調査報告書を踏まえたポイントは、2021年2月28日の1回目のシステム障害です。このときの対応が極めて甘いものでした。システム障害が検知されたのは午前9時50分でしたが、システム統括部門が障害報告メールを出したのが、障害を検知してから3時間後でした。
その報告内容も不十分で、ツイッターなどのSNSで拡散された情報を収集したというもの。ITシステムグループ長に電話報告が行われたのが13時40分。すでに4時間が経過しています。そして非常対策会議も7時間が経過した17時まで開催されませんでした。
また、第一報となる障害報告メールの障害判定は「A2ランク懸念」というものでした。ランクがA1に達していないものは、頭取と副頭取には情報が共有されない仕組みとなっており、システム障害の規模を甘く見積もったのは明らかでした。頭取はインターネットニュースを通して、自らトップを務める銀行が大変な事態に見舞われていることを知るに至ります。
みずほ銀行はMINORIの総点検を行い、重大障害に繋がるエラーを発生させ、波及影響と対策を確認するとしています。また、適切な人材を配置し、危機管理担当役員の設置も決まりました。
しかし、システム障害は技術的な問題点と組織的な問題点の2つを抱えており、簡単に解決できるものではありません。今後の動向に注目です。
<TEXT/フジモトヨシミチ>