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マッチングアプリ人気でも結婚が増えないわけ。男女それぞれの難点

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 ここ数年、結婚するカップルの出会いのきっかけが、マッチングアプリであることがとても増えました。マッチングアプリが結婚前の男女に広く浸透していることを特に実感するのは、披露宴で司会がお二人のなれそめを紹介する時です。

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※画像はイメージです(以下同じ)

 私はウエディング業界で30年以上仕事をしており、現在も専門式場はもちろん、ホテルやゲストハウスなどさまざまな会場で多くのカップルと接しています。以前は、ネット上の出会いであることを公にするのをはばかるカップルが大半でしたが、最近ではそれを紹介することに抵抗を感じるカップルは少ないようです。

 披露宴の現場でも、「ウェブサービスを通じて知り合い……」という言葉を頻繫に耳にするようになりました。数年前では考えられなかったことです。

婚活のプロから見ても優秀なシステム

 婚活サポートにも携わっている私からみても、マッチングアプリは結婚に向けた出会いのツールとして非常に優秀だと感じます。もちろん、運営する企業が信頼できることが前提なので、登録者数や実際に利用しているユーザーのクチコミ、可能であれば実際に利用している人の声などをしっかりチェックして登録することが大事です。

 最近のマッチングアプリはどこが優れているかというと、単に「趣味が同じ」というレベルではなく、嗜好性や人生哲学的な部分まで合う人を抽出できることです。例えば「お酒が好き」「ワインが好き」ではなく、「赤ワインのシラーを常温で飲むのが好き」というレベルで好みの合う人を見つけられます。

 それによって、今までだったら100人に会わなければいけなかったのが、5人に絞ったぐらいの状態から始められるので、価値観の合う人と出会える可能性が高いです。出会いには非常に効率がよいシステムだと言えるでしょう。実際、お互いの共通点に重きを置いた人のほうが、マッチングアプリでは相手探しがうまくいっています

アプリは未婚化の解消につながらない

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 一般的に少子化の原因のひとつとして未婚化・晩婚化があると考えられており、マッチングアプリの普及がその解消につながると期待する声もあります。国勢調査によると、日本人男性の生涯未婚率は2000年に10%を突破し、以降は上昇を続けて2015年には23.4%に達しています。
  また婚姻数もほぼ右肩下がりで、2000年に79.8万組だったのが、2020年には52.5万組と戦後最少となりました。

 でも、私はマッチングアプリが非常に合理的なシステムで、普及率が高くなったからといっても、その影響で未婚率が下がることはないと考えています

 なぜなら、マッチングアプリは「出会いのきっかけ」に過ぎないからです。就活で言えば、1次面接ではなく、3次面接ぐらいまでの人数に相手を絞り込めますが、決して最終面接ではないのです。

 そこまでは、いわばアバター同士がゲーム感覚で出会いを探すことができました。でも、その先はウェブから離れた「リアルでのやりとり」になり、ここからうまくいかない人がとても多いです。実際にマッチングアプリで交際を始め、一緒に生活を始めるところまでおつき合いが続いたものの、結局、結婚に至らなかったというカップルも少なくありません。

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