『科捜研の女』現場は驚き。石井一彰が影響を受けた“男性俳優”2人の存在
初めてでも気負うことなく挑めた
――そんななかで、突破口となるような出来事もあったのでしょうか。
石井:きっかけのひとつは、共演者の金田明夫さんからかけていただいた言葉ですね。それは「自分が相手をどう思っているかを根本にしっかりと持っていれば、それが自然と出てくるよ」というものでした。そこからすべてのキャラクターに対して自分の感情を決めていったら、自然といい距離感を持って入っていくことができたんです。
――では、役への向き合い方や仕事への姿勢にも変化はありましたか?
石井:演じ方のスタンスはあまり変わっていないと思いますが、現場での振る舞い方は結構変わりました。それは、蒲原の上司でもある土門薫役の内藤剛志さんの影響です。内藤さんは、共演者とスタッフをとにかく大事にする方。つねに周りにアンテナを張っていらっしゃるので、現場の雰囲気がよくなりますし、それが本番にも繋がっていくんですよね。いまでは僕も、同じ意識をどの現場でも持つようにしています。
秘訣は、コミュニケーションの取り方
――土門と蒲原は、上司と部下でありながら、相棒としてもいい関係を築いています。石井さんが上司や先輩と接するうえで大切にしている秘訣といえば?
石井:まずは、コミュニケーションをしっかりと取ること。たとえば、怖そうな人がいたとして、話しかけないままでいると、相手の考えていることもわからないですし、実はすごく優しい人かもしれないですよね? そういったこともあるので、どんな人でも極力自分から話しかけるようにしています。
――なるほど。ご自身から歩み寄っていく姿勢が大切なんですね。
石井:あとは、相手に「僕はあなたのことを尊敬していますよ」というのを見せるというのもいいのかなと。もし意見が違うことがあっても、そういう姿勢がクッションとしてあると、「あなたの意見は尊重しますが、僕の考えはこうです」というのが言いやすくなるからです。僕は学生時代から体育会系で上下関係が厳しかったので、そうやって先輩と接してきました。