売上が9割減った店も…飲食店の怒りの声「どこも失業中みたいなもの」
いまは政府と飲食店の関係は分断されている
東京・赤羽のコミュニティカフェ「ソーシャルコミュニティめぐりや」のスタッフ・橋本哲男さんは、緊急事態宣言下で繰り返される飲食店中心の対策に「『これからお店をどうしよう』と新しいアイデアを考える元気もない」と疲れを隠せない。
今回の緊急事態宣言延長が発令される前には、感染状況をかんがみて8月中の店内営業停止を決定。現在はお弁当のテイクアウトのみを行っている。このまま感染者数が減らなければ、9月もテイクアウトのみの営業になる予定だという。
政府が導入した協力金の先払い制度については「その前の協力金が遅れているので、一定期間だけ早く支払われても意味がない。逆に事務処理が難しくなったことで、飲食店側がどう対応すればよいのかわかりにくくなってしまう」と指摘する。
同店はこれまで、時短営業や酒類提供停止の要請に応じ続けてきた。しかし、政府には協力金の減額や支給の遅れといった対応を取られている状況だ。
東京五輪での「弁当大量破棄」に怒り
「政府の対応に怒りもあるし、諦めもある。最近は政府との間に『見えないアクリル板』が立っているように感じる。本来は政府と飲食店との信頼関係があってこその協力だが、いまは分断されている」と語気を強めた。
また、今夏に行われた東京オリンピックでの政府対応にも憤りを見せた。とくに許せなかったのが、弁当の大量廃棄問題だという。
「あの報道を見てがく然とした。我々は1食を食べるのすら苦労している方々を見ているが、オリンピックでは何万食もの弁当が廃棄されていたなんて……」
同店では毎日21時半ごろから、生活困窮者への無料弁当提供を行っている。取り組みを開始した今年1月時点では毎日20食程度の提供だったが、現在は60食以上に増加。それだけ、コロナ禍で苦境に立たされている人が増えているのだ。哲男さんはそうした現状を目の当たりにしているからこそ、政府の対応に怒りをにじませた。