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「あずきバー」の売上が過去最高。井村屋の好調を支える女性社長

ビジネス

 日本で作られたアイスの輸出が好調です。財務省「貿易統計」によると、2021年1月―6月における「アイスクリームその他の氷菓」の輸出量は約4862トンにのぼり、統計が検索できる1988年以来、過去最高量となっています。

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※画像は井村屋グループ公式サイトより

 井村屋グループは、2021年9月に「あずきバーを」マレーシア現地生産で販売開始予定であり、さらなる攻めの姿勢を示しています。本連載「ブラック企業アラート」では、井村屋グループ株式会社の公開情報を通して、同社の業績・企業体質を分析します。

あずきバーの販売数は「過去最高」

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図:「アイスクリームその他の氷菓」の半期の輸出量推移(貿易統計より筆者作成)

 新型コロナウイルス流行の影響が出ていると思われる2020年3月期・2021年3月期については売上を大きく落とすこともなく、最終黒字で着地しています。2021年3月期決算は、純利益が前年比4・7倍と好調です。

 一方、2022年3月期の第一四半期(4-6月)については営業赤字になっています。この理由として同社は決算短信で「会計方針の変更」を挙げています。この会計方針の変更は、各取引の状態を新しい会計基準に合わせて、途中経過をより正確に示すようにしたものです。

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図:井村屋グループの業績推移(決算情報 より筆者作成)

 第一四半期が営業赤字にはなったものの、あずきバーシリーズについては順調に拡販しており、2021年3月期時点では「過去最高」である2億9千万本を売り上げました。本業である食品販売・流通事業は引き続き拡大基調でしょう。新たな会計基準のもとで事業を順調に伸ばしていくことが期待されます。

井村屋グループの平均年収は?

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図:あずきバーシリーズの販売数推移(決算短信より筆者作成)

 では、現場の雰囲気や働きやすさはどうでしょうか。今回は有価証券報告書・公式サイトの情報・各種判例などからその姿に迫っていきます。

 まず、2021年8月22日時点で最新の2021年3月期の有価証券報告書を確認しました。井村屋グループの平均年収は485万円(平均年齢38.2歳)です。連結の従業員数が984人、提出会社(持ち株会社)のみでは43人となっており、「グループ全体の給与水準」とは言いにくい状況です

 令和元年の「民間給与実態統計調査」によると、給与所得者全体の平均年収は436万円です。持株会社である井村屋グループは「日本の平均以上」と予想できますが、持株会社の給与水準はグループ全体よりも高い傾向があるので、グループ内の給与水準はそれより低いかもしれません。

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