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世界遺産は増えすぎか?奄美大島、縄文遺跡群の登録に見る、その功罪

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 世界には数多くの世界遺産が存在する。日本では、2021年の7月26日に、新たに「奄美大島、徳之島、沖縄島北部及び西表島」「北海道・北東北の縄文遺跡群」の2件が世界遺産に登録された。

土盛海岸

美しい土盛海岸(鹿児島県奄美市) ※画像はイメージ

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 また、同年5月には『サンドウィッチマン&芦田愛菜の博士ちゃん』(テレビ朝日系)で長崎県の軍艦島の特集がされた放送回がギャラクシー賞を受賞するなど、世界遺産に対する関心がより高まってきている。

 そこで今回は、「世界遺産検定」を運営するNPO法人世界遺産アカデミー主任研究員・宮澤光氏に、世界遺産の基礎知識や、今回登録された世界遺産について話を聞いた。

世界遺産登録までの道のり

 世界遺産とは、1972年に行われたユネスコ総会の中で採択された世界遺産条約の中で定義されているものである。現在、世界中の様々な文化財や自然環境が、顕著な普遍的価値を持つものとして、世界遺産リストに登録されている。

 世界遺産には、文化遺産と自然遺産、複合遺産の3種類が存在する。世界遺産リストに記載されるには、遺産を保有する国が世界遺産条約の締約国であることなど、いくつかの前提条件が存在する。

 その前提条件を備え、顕著な普遍的価値があり、真正性や完全性が明らかで、「人類の創造的才能を示す傑作である」「優れた自然美や、独特の自然現象を示している」など10項目の登録基準の1つ以上に当てはまるものが、世界遺産リストに記載される。

 通常であれば、世界遺産は1年に1つの国から1つの登録となるが、今年は例外となった。2020年の世界遺産委員会が、新型コロナウイルスの流行により延期され、2年分の遺産が登録されたのだ。奄美は本来であれば2020年に遺産登録されるはずであり、縄文は今年の遺産登録であった。

世界遺産を選定するユネスコの存在

宮澤光

NPO法人 世界遺産アカデミー主任研究員、宮澤光さん

 宮澤氏によれば、外交の政治的な側面は国連に任せるとし、比較的衝突が少ない文化面から、世界平和へアプローチをかけるために生まれたのがユネスコだという

「第二次世界大戦後に、世界各国は『どうすれば戦争がなくなるのか?』と考えました。政治面では、どうしても国同士譲れないところがあり、衝突が起こってしまいます。ですが、ユネスコの管轄である教育や化学の分野は、他国であってもそれほど衝突しないことに気が付いた。なので、文化面を通してお互いを知っていくことで、戦争がなくなることを目指しています

 そうした活動の一環として、世界遺産という取り組みが行われることとなったのだ。

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