売上8兆円超、中国の巨人アリババ。東京五輪スポンサーは日本進出への布石か
宣伝効果は少ないか。今後の課題も
ただし、今大会の影響は少ないと言えるでしょう。そもそも無観客で行われ、各社の宣伝も控えめななか、大会を通じてアリババの協賛を知った企業関係者は少ないとみられます。開会式で話題となったインテル製ドローンや、選手村に供給されたトヨタのEVのように目に見える形ではない、クラウドは話題になりにくいです。テレビCMを通じて積極的に宣伝しても良かったかもしれません。
ちなみにアリババの今後ですが、中国共産党との関係が課題です。傘下企業の上場が突然中止となったほか、独占禁止法違反で多額の罰金を課せられるなど政府による規制が相次いでいるようです。
テクノロジーが進化しても権力を握りたい中国共産党の思惑があると見られ、今後は政府の顔色をうかがいながら事業を拡大していくしかありません。中国のネット人口は7割程度と国内市場の伸びしろはありますが、当局との関わりを重視するなかでこれまでのような急成長は期待できないでしょう。
<TEXT/経済ライター 山口伸>