空気階段もぐらさんに学んだ「おごられ飯」の極意/そいつどいつ市川刺身
ゆったりと流れていた時間が一気に動き出す
「あれー? もぐらくんに刺身くんじゃーん!」。店の入口を見ると、高円寺で何度か一緒に飲んだことのあるGさんがいた。
僕ら「お疲れ様です!」
Gさん「2人で飲んでたんだー!」
僕ら「そうですね! 飲んでたんですか?」
Gさん「そうそう、2軒行ってて、帰り道に覗いたんだけどー! ここ座っていい?」
僕ら「全然ここ大丈夫っすよ!」
Gさん「じゃあちょっとだけ! お邪魔しちゃうよねー!」
結構、酔っ払っている様子のGさんが僕らのいるテーブル席に座って、厨房に体を向けて衝撃の一言を放った。
Gさん「マスター! ここの会計、俺につけといてー!」
その瞬間もぐらさんの目が変わった。
もぐらさん「Gさん! 瓶ビールいいっすか! へへへ!」
Gさん「いいよー!」
もぐらさん「あと餃子いいっすか? 市川も食べる? じゃあ、餃子12個で! へへへ!」
さっきまでの、ゆったりと流れていた時間が一気に動き出した。さっきまでのメニュー1つ選ぶのに煙草1本を要していた男とは思えない決断力だ。僕は今まで、もぐらさんを見て学んできた。これは……
僕「Gさん! ウーロンハイいいっすか? あとチャーシュー!」
Gさん「いいに決まってんジャーン!」
僕「ありがとうございます! エヘヘ!」
もう僕のボスはもぐらさんではない
もう僕のボスはもぐらさんではない。ボスは変わった。この場のボスはGさんだ!
もぐらさん「Gさん、瓶ビールもう1本いいすか? あと、おでんの牛すじ! 2本で! エヘヘ!」
あんなにこんにゃくについて熱弁していたもぐらさんが牛すじを2本頼んだ。暴走モード突入だ。
僕「Gさん! ラーメン半炒飯セットいいすか? エヘヘ!」
もぐらさん「Gさん! 僕も炒飯いいすか? エヘヘ!」
店のマスター「Gさん! 俺も一杯いいっすか! エヘヘ!」
店のマスターも途中で入ってきてた。お腹いっぱいになり、Gさんに、お会計をしてもらい、一緒に店を出る。
僕ら「Gさん! ごちそうさまでした!」
Gさん「おーう! またねーい!」
本当はGさんと同じ方向の帰り道だが2人で脇道に入る。
僕ら「よし! 逃げろ~!」
もぐらさん「やったぜ! 奢ってもらったぜ!」
僕「イェーイ!!」
もぐらさん「市川! コンビニ寄ろう! アイス食おう!」
もぐらさんに買ってもらったアイスを食べながら帰る。帰り道に食べるアイスは青春の味がするね。
【☆今回の学び☆】
郷に入りては郷に従え! この場のボスを見極めよう!
空気階段もぐらさん、ごちそうさまでした!
<TEXT/芸人・そいつどいつ市川刺身>