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出前館が147億円赤字に。売上増、LINEが出資、でも不安視されるワケ

ビジネス

「積極的な事業展開」とはいえ…

 一方で営業利益は2017年:8.0億円⇒2018年:8.4億円⇒2019年:-0.4億円⇒2020年:-26.2億円、最終利益は2017年:4.3億円⇒2018年:5.6億円⇒2019年:-10.3億円⇒2020年:-41.1億円とうまく収益化できていないように見えます。

 これは決算書で「積極的な事業展開」を主張しているように、利益を蓄えるのではなく広告宣伝費など、規模拡大に向けた資金として投資をしているためです。2020/8期は赤字額が前年の4倍に膨れ上がっていますが、新株を発行して300億円の収入を得ており、問題ないと言えます。

 この300億円はLINEが出資したもので、資本提携によってLINEの出資比率は20%から30%以上に拡大しました。つまり、出前館はLINEの傘下で積極的な投資を進めていることになります。ちなみに2020年11月からはLINEアカウントで出前館を利用可能になるなどサービス面での提携も進められています。

 2000年代初期、規模を拡大しつつも利益を生み出せないアマゾンはその問題点を指摘されていました。その後、全てを投資に回してでも利益を抑える戦略であることが判明し、現在では成長企業の赤字は正しい戦略として認識されています。

膨大な赤字額は経営難につながるか?

株価下落

 出前館に関しては、2020/8期末までは問題ないように見えますが、直近の2021/8期第3四半期は企業規模に対して大きすぎる赤字額を抱えています。決算資料によると3Q累計の売上高は184.9億円と、すでに2020/8期を超えている一方で、営業利益は-129.1億円、最終利益は-147.3億円です

 今期の赤字は218億円にも及ぶ販管費が原因であり、内訳は広告宣伝費と配達員増加に伴う人件費の拡大がメインとなっています。つまり、拡大路線をさらに加速していることを示しています。

 投資家も今期の赤字に対して厳しい目を向けています。2020年初めころに1000円を下回っていた株価は年末には3900円台まで上昇しました。しかし、赤字拡大と共に今期は下落し続け、2021年7月現在では1500円台を推移しています。

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