出前館が147億円赤字に。売上増、LINEが出資、でも不安視されるワケ
コロナ禍で飲食業界は大打撃を受けたもののデリバリーやテイクアウト需要が伸びました。街ではUberEatsなどの配達員とすれ違うことが増えたでしょう。マクドナルドやスタバに行くと彼らが商品を受け取っているのを良く見かけますよね。
さて、国産のフードデリバリーサービス大手といえば「ダウンタウン」や「EXIT」をCMに起用する「出前館」があげられます。決算資料を見ると、売上高が急上昇していることがわかりますが、利益面では大幅な赤字を抱えており株価も下落し続けているようです。
市場で拡大する企業の赤字は問題ないと言われていますが、あまりにも大きすぎる損失は出前館の今後にどう影響するのでしょうか。決算資料から同社の今後を考えていきます。
デリバリー需要で売上は倍増しているが…
コロナ禍で拡大を続けるフードデリバリー市場。市場規模は2018年の3631億円から2020年には4960億円まで伸び、2021年は5678億円と試算されています(ICT総研調べ)。
そんななか出前館もデリバリー需要増加の恩恵を受けており、決算資料によると売上高は2020/8期末の103億円から2021/8期第3四半期には185億円まで伸びました。9か月で前年度の1.8倍も売り上げたことになります。
しかし一方で利益面では芳しくなく、2020/8期末の営業利益は-16億円、2021/8期3Qは-129億円と赤字幅が前期売上高を上回っているほどです。
実は市場を拡大する中での赤字は問題ないと言われており、かつてのアマゾンのように利益を全て投資に回したことで市場の地位を確保した例もみられます。ただ、出前館の赤字幅はあまりにも大きく、今期は9か月間で現金・預金が約半分(134億円)も減っています。確かに企業規模は拡大していますが、大幅な赤字は問題とならないのでしょうか。
規模は順調に拡大している
出前館の収益源は主に3つあり、事業内容と直近の2021/8期第3四半期の売上高185億円に占める割合はそれぞれ以下の通りです。
1)サービス利用料(出前館に登録する飲食店からの収入):41.1%
2)配達代行手数料(配達の手数料):50.6%
3)通信販売事業(飲食店を対象とした焼酎、ワインの販売):2.5%
2017/8月期から2020/8期までの業績を見ていきましょう。同社公表の決算資料によると売上高は4年間で2017年:49.4億円⇒2018年54.3億円⇒2019年66.7億円⇒2020年:103.1億円とコロナ以前からも伸び続けていたことが分かります。
CM広告によって認知度を高めたほか、北海道や京都などそれまで展開していなかった地域への進出を進め規模を拡大しました。2020/8期は巣ごもりでもお店の味を楽しめるとしてデリバリー需要が伸びた恩恵を大きく受けたようです。