映画を短時間にまとめた「ファスト映画」で逮捕者が…何が問題点なのか解説
海賊盤に近いものと判別された?
映画配給会社や宣伝会社から、使用目的を理解し、提供してもらった場合は別であるが、「ファスト映画」の制作者は明らかに自分たちで用意したレンタルや購入したDVDソフトから、映像を抽出している。
一般的に流通しているDVDソフトには、コピーガードがかけられており、これを外してコピーする行為自体が違法だ。以前は私的利用であれば問題ないともされていた時期もあったが、現在は私的利用目的でもコピーガードを外してコピーすることはNGである。
さらに収益化され、不当な利益を得ていることは、海賊盤に近いものと判別されたのだろう。YouTubeでは収益が発生すると、半分が著作者に渡る仕組みの「コンテンツID」というものある。これが付与されたことで合法と勘違いしている場合もあるようが、あくまでYouTube側のシステムによるものであって、もちろんコンテンツホルダーが了承しているわけではない。
「ファスト映画」が流行る土壌がある
今回逮捕されたグループのように、再生回数が多くて目立っていたり、組織犯罪の場合は摘発できても、個人が細々とやっている部分に関しては、なかなか手が及ばないのが現実だ。
抑止という意味もあっての逮捕であれば、運が悪かったのかもしれないが、この事件で知ってもらいたいのは、法的な問題以前に「ファスト映画」という概念自体にも目を向ける必要があるはずだ。
少し前に、倍速再生で映画を観る行為が議論を呼んだ。その原因は、忙しくて時間がないけど、話題になってて気になるし、時短で映画を観たいというものからであったが、それを象徴するものが「ファスト映画」だ。
映画の観方というのは、人それぞれであって、そこに規制があるわけではない。時間がないけど映画が観たいという人にとっては、「ファスト映画」は、ありがたいものだと感じた人も多いかもしれない。
しかし、その「ファスト映画」という存在が、結果的に映画業界の活性化に歯止めをかけてしまう行為だと認識している人はどれだけいるだろうか。