中国グローバル企業経営者の過激な名言集。W杯で話題のあの企業も
フランスの勝利で幕を終えたサッカーW杯では、中国企業の広告に目が止まった人も多いのではないでしょうか。
「adidas」「Coca-Cola」「VISA」といったグローバル企業とともに、試合中のピッチを囲む大型パネルには「蒙牛」「万达」「Hisence」といった見慣れない中国企業の名前が大きく映し出されました。
英語表記が大半を占める国際試合の会場で、中国式の漢字表記はなおさら目を引いたはずです。日本人には馴染みの薄いこれらの会社は、どんな会社なのでしょうか。それぞれの会社の創業者の言葉から、その姿を探ってみることにしました。
中国の乳製品メーカー「蒙牛乳業」
「蒙牛」は「メンニウ」と発音する中国の乳製品メーカーで、日本でいうならメグミルクや明治、森永乳業のような存在。創業者は内モンゴル出身の「牛根生(ニウ・ゲンシェン)」という名の1958年生まれの男性です。
出身地の内モンゴル(蒙古)と、自身の名字からそれぞれ1文字ずつ取って、「蒙牛」と名付けたようです。それにしても、乳製品メーカーの創業者で名字が「牛」というのは、実に縁の深い話ですが。
牛根生は内モンゴルの貧困家庭に生まれ、生後間もなく「50元で牛飼いの家に養子に売られた」という苦労人。子どもの頃は、食事を満足に取ることも難しかったといいます。
25歳で乳製品メーカー「伊利集団」に入ると出世の階段を駆け上がり、副総裁の座に就き44歳で退職。「蒙牛」を1999年に創業しました。しかし2008年にメラミン検出問題を起こして業績が低迷し、2009年に中国国有の食品大手、中糧集団が筆頭株主となり、国有企業となりました。
「問題のある者は給料を減らせ」
牛根生は多数の語録を残しており、その多くは誠実に商売することの重要性を説いたものですが、なかには中国人らしい合理的で大胆な発想のものも見られます。
「問題のある者は給料を減らせ。問題のない者には全額支給せよ。大きな成果をあげた者にはボーナスを与えよ。大きな過ちのあった者には金を払わせよ」
「良い人間は使い道がある。悪い人間にも使い道がある」
「すべての者が同じ側に立つのは、良くないことだ」
能力のある者には十分な待遇で応えるのは、“中国式経営術”の基本と言えそうです。定年退職した日本の技術者たちが、少なからず中国企業に再雇用されていくのは、こうした価値観が背景にあるのでしょう。
「悪い人間にも使い道がある」というのは、清濁併せ呑む中国社会らしい言葉にも感じられます。出来の悪い社員であっても、持ち味を見出せば適材適所に活躍の場があるはず、という経営者への戒めでもあるのでしょう。
「すべての者が同じ側に立つのは、良くない」というのは、日本の組織には受け入れにくい考えかもしれません。常にメンバーの心をひとつにすることを美徳とする日本型組織の良さももちろんありますが、昨今のグローバル社会では、むしろ「ダイバーシティ」が成長を生み出すと言われています。全員が同じ方向を向くことの危険性にも、注意が必要かもしれません。