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キングオブコント王者がカレー屋をオープン 「初期費用は3ヶ月で回収できた」ワケ

暮らし

 2020年1月、お笑いコンビ「かもめんたる」槙尾ユウスケさん(40・@makiokamomental)が間借りのカレー屋「カリガリ マキオカリー」を東京の三軒茶屋(世田谷区)にオープンした。営業時間は11時半から14時のランチタイムのみ。「神田カレーグランプリ2019」で優勝したカレー専門店「カリガリ」の味を受けついていることもあり、評判は上々だ。

かもめんたる

「かもめんたる」槙尾ユウスケさん

 かもめんたるといえば、「キングオブコント2013」で優勝した実力派コンビ。2015年には「劇団かもめんたる」を立ち上げ、舞台にも力を入れている。お笑いの頂点に立った槙尾さんがなぜ飲食店を? コロナ禍による仕事の激減、芸人だけで食べていくことの難しさなど、副業で間借りのカレー屋をオープンするに至った背景や思いを聞いた。

コロナでも“死の時間”はつくりたくない

――夜はバー営業しているということもあり、おしゃれな雰囲気ですね。なぜ、ここで間借りのカレー屋を始めようと思ったのでしょうか。

槙尾ユウスケ(以下、槙尾):仕事が徐々に減っていたので、2019年から副業として準備を進めていました。より店舗経営の割合が大きくなったのは、やはり新型コロナウイルスの影響が大きいですね。2020年3月以降、イベントや劇場の仕事はほとんどキャンセルに。ミュージカルにも出演予定で2か月半スケジュールを押さえていたのですが、それもなくなりました。

 今まで生活のためにバイトをしていた時期もあるのですが、芸人以外の仕事をする“死の時間”を作ることにはずっとためらいがあって……。

――“死の時間”ですか?

槙尾:芸人って、バイトしていることを隠したほうがいいという暗黙の了解があるじゃないですか。僕たちのような中堅でもバイトしている人は実は多いんですが、公表しない場合がほとんど。だから深夜のコンビニや警備員など、時給が高くかつ顔バレしにくい仕事を選ぶ傾向があります。

 ただ、その時間はエピソードトークに使えないですし、ネタ作りにもつながりにくいから、芸人にとっては“死の時間”になるんです。僕は芸人の仕事がやっぱり好きなので、そこから離れることに抵抗がありました。そんな中、知り合いから「『カリガリ』というカレー屋が、芸人が店長を務める新店舗を始めたいって言っているんだけど興味ある?」と連絡をもらったんです。

スパイスを調合してインスタにアップ

かもめんたる

看板メニューの「カリガリ超スパイスマキオカリー」(900円)

――もともとカレーが好きだったんですか?

槙尾:マニア、というほどではないですが、好きでしたね。自分でスパイスを調合してインスタにアップしたり、芸人カレー部のLINEにも入ったりしていたので、声をかけてくれたんだと思います。

「カリガリ」の社長さんに会って話を聞いてみると、間借り業態によるフランチャイズ化を目指しているとのこと。「夢を追っている人の収入になれば」と、新店舗には芸人やミュージシャン、俳優などを店長にしたいとおっしゃっていました。とてもいい話ですよね。ただ、いきなり店舗を任されることに対して躊躇する人が多く、なかなか店長候補が見つからなかったそうです。

 もちろん普通のバイトよりハードルは高いですが、堂々と“かもめんたるの槙尾”の店として始めれば、芸人としても発信できるのはと思いました。それにカリガリの味も引き継げますし、間借りならリスクも低く始められるので、思い切って受けることにしたんです。

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