“転売ヤー”を描いた異色の漫画。なぜ転売をテーマにしたのか作者に聞く
「転売憎し!」で関連ニュースを読み込んだ
――金木くん&大友だけではなく、本作にはさまざまな転売ヤーが登場しますね。自身の知名度を使って古着の転売をするインフルエンサーの美作(みまさか)は印象的です。
早池峰:フリマアプリにもフォロー機能があるので、本人自体がある種のアイドル性を持っている出品者がけっこういるんですよね。あと動画サイトや外部のSNSで商品を紹介して売ってる人もいますし。インフルエンサー自体は使い古されたテーマかもしれませんが、本人が有名だから、商品が売れる現象に興味をもって描いちゃいましたね。
――転売ヤーに関するネタ集めはどのようにおこなっているのでしょうか?
早池峰:連載前から「転売憎し!」みたいな気持ちで、関連ニュースはかなり読み込んでいました。あとはネット上の掲示板とかSNSとかで自分の手口をバラしている転売ヤーや、彼らを嫌って啓蒙的な意味で転売情報を発信している人がけっこういます。ネタ集めに関してはネット頼りですね。
空き巣や盗聴などを特集した番組を作っている感じ
――フィクションとして面白いのが大前提ですが、転売という社会問題の現状を記録したものとしても貴重な作品だと思います。
早池峰:「手口を細かく描きすぎると真似する人が出てくる」と懸念される方々は多いと思いますが、ある程度の具体性は重要だと考えています。例えば、転売ヤーから物を買う人は多いのに、ネットに「転売ヤーから買っちゃった!」などと書き込む人はそんなに見ません。あっても転売ヤーの自作自演なこともあります。
転売は悪いこと、叩かれることという認識はなんとなく世間に浸透していると思いますが、転売はなくなっていません。ですので、どう悪いのか具体的に知ってもらわないと抑止力にならないと思い、かなり細かい手口まで描いています。感覚としては、空き巣や盗聴などを特集した番組を作っている感じです。
『テンバイヤー金木くん』を読んで防衛意識を高めるきっかけになればいいなと思います。また啓蒙的な要素だけではなく、あるあるネタとしても楽しめるようにも意識しています。普段から転売ヤーのせいで買いたいものが買えず、鬱憤が溜まっている人の溜飲を少しでも下げられたらなとか……。
――結局のところ、どうすれば転売がなくなると思いますか?
早池峰:正直なところ難しいと思います。詳しくは漫画を読んでほしいのですが、転売は絶対悪でありつつ、実はいろいろなところの利益と繋がっているんですよね。以前は法整備に期待していました。しかし2020年のマスク転売に対する措置が、一時的だったのを目の当たりにして、国の対応にあまり希望を持てなくなってしまいました。現状は、消費者がNoを突きつけ続けるしかないと思っています。