相手をイラっとさせる「損する言葉」とは?社会人が知るべき「言いかえクイズ」3問
相手をイラッとさせない断り方とは?
では、自分が人に何かを頼んで断られたとして、腹が立たないのはどういうときでしょうか。最初から無理なことがはっきりしていて、無理な事情が納得できて、断った側も申し訳なく思ってくれていて、なおかつ断られても困らないときです。
これなら、腹は立ちません。つまり、断るときには、「最初からはっきり断る」+「断る理由や事情をちゃんと説明する」+「謝る」+「相手が困らないように代案を出す」ようにすれば、よいということです。
断るのが苦手な人は、つい「ちょっと考えさせてください」などと返事を引き延ばしてしまったりします。しかし、結局、断るのであれば待たせている時間は相手にとって無駄になってしまいますし、待たせた分、相手の怒りを買ってしまいます。
ですので、無理なことがはっきりしているのであれば、先延ばしにせずにきっぱり断るほうが、相手にとっても自分にとってもよいのです。たとえば、先輩や上司から仕事の手伝いや残業を頼まれたけれど、都合が悪くて手伝えない場合、「その日は○○の予定が入っていて、お手伝いができません。申し訳ありません。ですが、○日でしたらお手伝いができます」というように、「はっきり断る」+「理由」+「謝罪」+「代案」が出せると、相手も気分を害さずに済みます。
代案が出せない場合は、別の形で埋め合わせをする提案ができるとよいでしょう。上記の例であれば、「この件のお手伝いはできませんが、代わりに△△の業務ならお手伝いができます」というような形です。また、代案も埋め合わせも難しいときには、相手と一緒になって、どうしたらよいか考えるようにできるとよいでしょう。親身になって考えている気持ちが伝われば、相手の気持ちもほぐれるはずです。
AをほめるためにBを否定しない
【「損する言葉」と「好かれる言葉」】
× AはBとは比べ物にならないですね
○ Aはとてもいいですね
「Aをほめたい、良さを伝えたい」と思うときに、ついやってしまいがちなのが、別のものBと比較し、Bをけなしてしまう言い方です。考え方や好みは人それぞれであり、当然Bが好きな人もいます。なので、こういう言い方をしてしまうとBが好きな人を傷つけてしまったり、「この人とは話が合わないな」と思われてしまう可能性もあります。
一番の目的はAをほめることであり、Bをけなすのはそのための補強に過ぎません。それなのに、Bのことで誰かを不快にさせたり、人間関係に問題が起きてしまっては、こんなにもったいないことはありません。
何かをほめるときには単体でほめるだけにして、「Bとは比べ物にならない」というような、ほかを否定する余計な「損する言葉」は付け足さないようにしましょう。「A店のランチは微妙だけど、B店はすごくおいしい」「A先輩と違ってB先輩は話しやすい」など、職場での雑談のときなどについ使ってしまいがちな言い回しなので、注意が必要です。
このように「損する言葉」を「好かれる言葉」に言いかえる「言いかえ力」を身につけることができれば、仕事がスムーズに進められたり、ちょっとした雑談や初対面の人との会話など、あらゆる場面で、信頼や好感を持ってもらえる話し方ができるようになります。
職場での会話に悩みやストレスを感じている人は、言葉の使い方を意識してみることをおすすめします。
<TEXT/bizSPA!取材班>
【津田秀樹】
心理研究家。筑波大学卒。『anan』や『non-no』などの雑誌の心理テスト作成、携帯公式心理サイトの主宰、心理学的映画紹介、心理マンガ(原作)、就職適性検査の対策本の執筆、ニンテンドーDSのソフトのディレクションなど多方面で活躍。著書に『迷いがなくなる心理学 人生のサンタク』(PHP研究所)、『ジーパンをはく中年は幸せになれない』(アスキー新書)など
【西村鋭介】
精神科医。精神保健指定医、精神科専門医。東京大学中退、国立大学医学部卒業。現在は理論的心理学と、科学としての精神医学を統合させ、悩みに潜む心理学的背景を解析するとともに、それを病院での臨床の場に実際に応用。「心理学」と「精神医学」の二方向からのアプローチで、人の悩みの真の解決を目指し、日々活動中。携帯公式心理サイトで、「ココロコラム」と「お悩み相談」のコーナーを長年担当