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佐藤二朗が振り返る“20代の暗黒期”「リクルートを1日で辞めたのはアホだった」

暮らし

妻の反応は照れ隠しだと踏んでいます

はる

――やっぱり途中途中で支えてくれた人がいるんですね。

佐藤:そうだね。あとは、あっちに行ったりこっちに行ったりしていたとき、妻は「また芝居やるの?」とは一言も言わなかったんです。2つめの養成所で一緒になって、ずっと同棲していたんですけどね。養成所がダメで、サラリーマンをやったのも知っているし、そこからまた「ちからわざ」をやり始めたのも知っていて。

 劇団「自転車キンクリート」に入って、いよいよ正社員を辞めてバイト生活になったときも、何も言いませんでした。そういえば前に、バラエティ番組で「奥さんにアンケートします」ってことがありました。

――当時の思いを改めて聞いてみた?

佐藤:「旦那の才能を信じていました」とか言うかなと思っていたら、「何も考えていません。お互い若かったし、自分の人生だから好きなことをやればいいと思っていた」としか言わなかったんです。でも僕、それは照れ隠しだと踏んでいます。ん? 本当に何も考えてなかったらどうしよ(笑)。

それでも明日も生きていこう

はる

――ちなみに長く同棲されていたとのことですが、プロポーズのときは。

佐藤:8年同棲していて、風呂なしのアパートで僕も妻もバイト生活みたいな状態のときもありました。そこから、妻が30歳になるタイミングと、僕が「あれ、ここ何か月もバイトしなくて食えているぞ」というのが重なって、もう一緒になるのはこの人だというのは決めていたので、「ちょっと君のご両親に会いに行こうか」みたいに言ったんです。そのときの妻の照れなのかなんなのかわからない顔も、いまだに覚えていますね(照)。

――ステキなお話をありがとうございます。最後に監督作公開へメッセージをお願いします。

佐藤:最初にも触れましたが、生きていくうえでの悩みとか障害とかが取り払われたわけじゃないのに、それでも明日も生きていこうと思った瞬間に僕は凄くドラマを感じます。また、コメディとシリアスは同じ地平にあると思ってて、笑ってたら泣いてる、泣いてたら笑ってるという瞬間に魅力を感じます。様々な複雑な感情を体験してほしいですね。

<取材・文・撮影/望月ふみ ヘア&メイク/今野亜季(エイエムラボ) スタイリスト/鬼塚美代子(アンジュ)>

ケーブルテレビガイド誌の編集を経てフリーランスに。映画周辺のインタビュー取材を軸に、テレビドラマや芝居など、エンタメ系の記事を雑誌やWEBに執筆している。親類縁者で唯一の映画好きとして育った突然変異
Twitter:@mochi_fumi

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(C) 2020「はるヲうるひと」製作委員会

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