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過労死する働き方はなぜ減らない?「ソニー過労死問題」で考える身の守り方

ビジネス

「自分の命を守ることを最優先に」

――労働に関する啓発・教育に関しては、どのように考えていますか?

白神:私自身、高校生や大学生に向けて「過労死防止啓発授業」をおこなう機会がありますが、最初からカリキュラムに位置付けてもらいたいです。中学校卒業と同時に社会人として働く方もいます。

 何も教えられないまま社会に出ることで、不当な扱いを受け、生活や心と体の健康を壊されることがないよう、中学校からワークルール教育で「はたらく人たちの権利」を教えるという仕組みを、国がしっかり作るのが必要だと思います。

 残業代請求の権利や、セクハラ・パワハラを受けない権利はもちろん、過労死遺族の方が強調されるのですが、「今すぐに解決できない問題が起きている場合は、自分の命を守ることを最優先に考えてほしい」「会社側が認めなくても、会社を辞める権利というのは労働者側にあること」をしっかり伝えてほしいと思います。

自分の身を守るために準備するべきこと

弁護士

――令和のビジネスパーソンがさまざまな労働問題から心身を守るためには、まず何をするべきでしょうか?

白神:ご自身の権利についてぜひ、知っておいていただきたいと思います。そして、会社側に対してたった1人でたたかうのではなく、同僚たちと力を合わせてお互いを守りあう「組合」に所属することが身を守るために何より大切です。

 また、労働時間や業務内容、仕事上の出来事を記録する態勢を整えておくと良いです。できれば電子媒体の記録を残すツールを決めて、日々書き留めていけるようにすることが大切です。可能であれば、その記録をご家族と共有しておいてください。いざというときに、ご家族の電子媒体に残っている記録が証拠になります。

 そして、鬱の症状や、体がどのようになったら異常のサインなのかを、あらかじめ調べておくことも重要です。例えば「食欲が減った」「怒りっぽくなった」「眠れない・眠りが浅くなった」「将来に対して悲観的になった」などは、心身のどこかに異常が起きている証と考えられています。それらを知っておくだけでも自分で異常に気付けますし、ご家族に情報共有しておけば、心身が壊れる前に手を差し伸べてくれるはずですから。

――労働組合に加入することは、やはり自身の身を守る有効な手段ですか?

白神:はい。社内の労働組合がなくても、1人からでも加入できる一般労働組合もありますので加入するのがおすすめです。特に今後、海外赴任の可能性がある方は、今回のソニーの一件のように孤独な状態で、理不尽な働き方を強要させられる可能性があります。労働組合に加入しておけば、そのような場合になってもすぐ相談が可能です。おかしい働き方に関して改善を促すこともできるでしょう。

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