アイリスオーヤマ、家電が10年で12倍成長。「会議の秘密」を執行役員が語る
暮らしを豊かにする家電。部屋をおしゃれな空間に変える「デザイン家電」や、スマートフォンで操作ができる「スマート家電」など多種多様なラインナップが日々販売されている。そんななか、使い勝手に優れながらも高すぎず、安すぎない「値ごろ感」が支持されているのがアイリスオーヤマ。
年間1000点もの新商品を開発し、ヒットを生み出してきた同社だが、そのアイデアの源泉はどこにあるのか。アイリスオーヤマ株式会社で執行役員 家電開発部部長を務める原英克氏に話を聞いた。
タイミングが功を奏したヒット家電
家電といえばパナソニックやソニー、富士通、シャープなど名だたる国産メーカーが立ち並ぶが、後発であるアイリスオーヤマ参入のきっかけを、原氏はこう語る。
「もともとプラスチック製の収納用品や日用品をホームセンターで販売していたのですが、お客様から『アイリスオーヤマも家電を出してほしい』という要望があったんです。“お客様にとって便利なものを作る”という企業理念のもと、その声に応えるようになりました」
本格的に参入したのは2009年のLED電球。当時はちょうどLED照明が家庭に普及し始めたタイミングであり、2011年には東日本大震災が発生したことによる節電意識の高まりも相まって、需要が高まっていた。
「他社メーカーと比べて低価格で提供できたのが功を奏し、大ヒットに繋がることができた。これを皮切りに、シーリングライトや業務用LED照明などの主力商品の開発につながっています」
人材確保に苦戦した関西拠点
2012年からアイリスオーヤマは生活家電の開発を本格的に始めていく。しかし、当時は苦労も多く、原氏は「中途技術者を中途採用したことが功を奏した」と振り返る。
「新たに家電を開発することになり、“安全性の担保”をどうするかが鍵でした。当時は韓国・台湾勢が急速に台頭してきて、国内の家電メーカーは大幅な人員削減や事業売却を行なっていた。日本人技術者の海外流出も、大きく取り沙汰されており、中途採用に力を入れたほうが早かった」
実は、はすでに宮城に開発拠点を持っていたアイリスオーヤマ。しかし、場所柄、なかなか人材が集まらなかったという。そのため開発拠点を大阪にオープンさせた。
「日本の家電メーカーの多くが関西に拠点を構えていた関係で、技術者も関西住まいが一般的だった。なので、東北へ越してきてもらうよりも、大阪に開発拠点を立ち上げれば集まりやすいという話になりました」