29歳早大卒女優・行平あい佳が語る、難役の重圧「半身不随の夫を支えて…」
夜道をしくしく泣きながら帰った
――サキを演じていて苦しいことも多かったと思いますが、カットがかかればパッと切り替えられるものですか?
行平:そうしたいですが、やはり積もり積もっていってしまうものはありました。撮影中にも、一杯一杯になって、突然、感情が「パンッ!」と飛んでしまったことがありました。帰宅する夜道を、泣きながら帰って溜まっていたものを出しました。
――泣いて吐き出した?
行平:はい。マスクと眼鏡もしていたので他人からはわからないし、えんえんではなく、しくしく泣いて帰りました。それくらい、明るく振舞うってストレスが溜まることなんだなと実感しました。
――出来上がりを見て、好きなシーンを教えてください。
行平:予告編にも登場している、2人で一緒に湯船に浸かるシーンです。全編を通じて、穏やかにズレていく映画で、観ていてもどかしい人や、そのズレを気持ち悪く感じる人もいると思います。でもあの湯船のシーンだけは、2人がズレていない。目の前がちょっと華やかな幸せに見える、あのシーンは際立って映りました。
就活に身が入らず、そのまま卒業
――行平さんは早稲田大学を卒業していますが、大学時代は映画サークルで活動していたんですよね?
行平:「こういう役をやりたいから、こういう脚本を書いて、自分で監督しよう!」とやっていました(笑)。
――就職活動の時期になると、就職する意義が見いだせなかったとか。
行平:私が出た大学って、9割7分、8分くらいが普通に会社に就職するんです。だから終活の波が、否が応でも来るのですが、そういうのを見ていて、私は俳優になりたかったけれど、俳優になるための就活っていうのはないなと感じて。テレビ局や映画会社を受けることも考えましたが、身が入らなくて、そのまま卒業しちゃったんです。