M-1敗退で芸人からIT営業マンに。33歳、初めての就活で50社落ちても楽しめたワケ
単独プレーから、一致団結プレーに変わった
こうして2018年から望月さんは念願の、IT業界で営業を担当することになりました。
「弊社は資格試験の運営総合委託サービスを主な事業としておこなっています。『CBT(Computer Based Testing・コンピュータ ベースド テスティング)』というコンピュータを使った試験方式で実施していて、全国280か所のテストセンターで受験ができます。日商簿記検定や秘書検定のシステム化にも、実は1枚噛んでいます。が、CBTは、日本ではコロナ禍で密にならず、県外移動のリスクも低いと話題ですが、アメリカではすでに20~30年ほど前からはじまっていて、イギリスでは運転免許の学科試験に導入されているんですよ」
僕はそのシステムの販売や、実際どうやって導入していくかを、試験主催者などのお客さまに説明や運営のフォローをしています。また、事業の1つに資格・検定の情報サイト『日本の資格・検定』があり、運営を担当しているメンバーと一緒にスタッフブログも書いています」
お笑い芸人とIT営業の“やりがい”にはどのような違いがあるのでしょうか。
「芸人時代は、コンビでも『個人のお笑い能力を上げる』ことを求められていました。でも、現在の僕は、お客さまがやりたいことを解釈し、社内の各部門に伝えて連携をとる役割です。多いときは10人単位でプロジェクトが動くこともあり、一致団結で働いているときにやりがいを感じます」
同じ社内とはいえ、いろんな人間がいるので『この人にはこういう言い方のほうが伝わりやすい』『この人はこういう部分が苦手なはず』と、特徴や人間性を把握して仕事を進めています。全員の足並みがそろうように心がけていますね」
影響を受けた、ウーマン村本の言葉
芸人時代に培ったことのなかで、「現在も役立っていることはたくさんある」と望月さんは話します。特に芸人時代の最後の3年間を一緒に過ごしたウーマンラッシュアワーの村本大輔さんの言葉には、大きな影響を受けています。
「『仕事に対して手を抜くな』と村本さんに常に言われていました。『安定をしたい気持ちがおまえにあるのはわかる。でも常に前にすすめ』と。例えば僕らが劇場で鉄板ネタをやると、どれだけウケても村本さんは絶対に褒めない。なんなら『何が面白いの? そんな仕事して』と貶すんです。
誰かがやったことがある、簡単にとれる笑いをとりにいったときには特に怒られました。『いらない、そういうの。誰かがやった笑いや、自分たちが過去成功したからうまくいくとわかっている笑いなんて、やり続けるな。そんなことに喜びを感じるな』って。本当にずっと怒られていました」