H.I.S.を20代で辞めた僕が「ハウステンボス」で学んだ起業家の原点
新卒採用で入社した大手旅行会社H.I.S.を飛び出し、「世界中の人たちを食で笑顔にしたい」という夢の実現を目指す、沖杉大地さん(30歳)。
その第一歩として足を踏み入れたのが、H.I.S.創業者である澤田秀雄代表取締役会長兼社長(CEO)が主宰する「澤田経営道場」。
その第一期生として、世界を目指す次世代リーダーになるため、学んだこととは? さらに、創業直後に味わった挫折。それでもへこたれなかったのは、なぜでしょうか。 飽くことのない挑戦を語ってもらいました。
澤田経営道場が経営者への第一歩
――H.I.S.に入社する前から起業を志していたそうですね。きっかけは何ですか。
沖杉大地(以下、沖杉):大学3年のときに、世界一周をしました。タイ、インド・パキスタンから中東、イラン・イラク、トルコ、シリア、南アフリカ、そして南米、アメリカを回ったのです。
その時に笑顔が少ない国が多いと感じました。特に貧しさが原因で大人も子供も悲しい表情を浮かべているある国のスラム街で「ギブミーマネー」と子供たちにせがまれて、金銭を挙げたところ、子供たちは作り笑いだけでした。
――それは大変な経験ですね。
沖杉:ショックでしたね。自分がちっぽけな存在だったことを思い知らされました。同時に、少しでも人々を笑顔にできる事業を自ら作り出して、社会に貢献したいと思いました。そのためには経営者になろう、と決めましたね。
――H.I.S.に入社した理由も、経営者になるという将来を見据えてのことですか。
沖杉:帰国してから、世界一周の知識を強みに、就活を旅行会社一本に絞りました。大手旅行会社から複数の内定をもらいましたが、H.I.S.のベンチャースピリットに強く惹かれました。ここならチャレンジできるという期待も強かったですね。
――経営者という志が早く実現したのもH.I.S.に入社したからですか。
沖杉:その通りです。入社してから2年間は、新宿東口にある店舗で、お客様の旅行の手配というコンサルティング業務を担当していました。お客様の希望を上回るような提案をしたいと夢中でしたね。
その後、人事との面談の際に「将来は経営者になりたい」と述べたら、入社3年目に、経営企画室に異動というチャンスが巡ってきました。澤田会長ほか役員の方々がいるフロアーで財務などを学べる仕事は、身が引き締まる思いでした。毎朝誰よりも早く出社して、社長や役員のデスク掃除が日課になりましたね。
――転機は澤田経営道場第一期生だったと聞いています。
沖杉:澤田会長が若手社員から経営者を育てるという趣旨で澤田経営道場がスタートしました。今年の道場は5期生で、3期生から社外からも道場生が入り、次世代リーダーを育成するという大きな目的に変遷していきました。
2014年4月から2年間、私はH.I.S.クループ内の社内公募によって集められた9人の第一期生の一人でした。半年間は「座学」の授業。朝9時から17時までみっちりと、『孫子の兵法』『ランチェスター戦略』などの経営戦略から、有名な経営者やベンチャー起業家、人としての成長を促すような考え方を教えてくれる方々の講義を受けました。