ディズニーとも喧嘩するNetflix。常識をブッ壊して急成長する最強の戦い方
『スパイダーマン』を配信できないDisney+
MCU(マーベル・シネマティック・ユニバース)作品のほとんどを配信しているDisney+だが、配信できていない作品がある。それは『アイアンマン』『インクレディブル・ハルク』『スパイダーマン ホーム・カミング』『スパイダーマン ファー・フロム・ホーム』の4作品。これらの共通点はソニー・ピクチャーズが製作に関わっていることである。
スパイダーマンの映像化権を所有しているソニー・ピクチャーズがスパイダーマンを貸し出すかたちで、MCUは『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』以降、スパイダーマンを登場させることが可能となった。
今となってみればスパイダーマンはMCUに欠かせないキャラクターとなっており、3作目『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』の公開も控えている状況である。
一方、ソニー・ビクチャーズ側もスパイダーマンのスピンオフとして『ヴェノム』からなるSPUMC(ソニー・ピクチャーズ・ユニバース・オブ・マーベル・キャラクター)シリーズをスタートさせており、数多くの企画が発表されていて、スパイダーマンとの合流時期も期待されている。
Netflixの経営戦略に映像業界は…
これはあくまで配信権であって、映画の内容自体に関係してこないとも思えるだろうが、MCUのサイドストーリーを看板作品のひとつとしているDisney+にとって、のちのちはソニー・ピクチャーズとも配信という点でも業務提携し、スパイダーマン関連のドラマの製作も視野に入れていた。それだけに、Netflixの出方によってスパイダーマンへの力の入れ方、MCUのストーリーラインの影響力は変わってくる可能性があるのだ。
やられたらやり返すし、やられなくてもケンカを売ってくるNetflixの経営戦略は映像業界を常にヒヤヒヤさせている状況であり、今後の動きから目を離せない。
が、「HBO Max」や「パラマウント+」のように対抗意識をオリジナル作品のクオリティ向上、という形で反映するのであれば、Netflixの台頭は悪いことばかりではないというのも事実である。
この状態をディズニー側はどう思っているのだろうか、今は大人しくしているだけに、ディズニーによる次の一手が気になるところだ。
<TEXT/映画ライター バフィー吉川>