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革靴を長く愛用するには。「手入れの基本」を老舗メーカーに聞いた

学び

もしカビが生えてしまった場合は…?

広津理恵さん

株式会社ムーンスターのライフスタイルマーケティング課 広津理恵さん

 スニーカーと違って、汚れたら洗濯機で丸洗いすることもできない革靴。特に、湿気の多い梅雨のシーズンは要注意。防水スプレーで保護するのはもちろん、濡れてしまった革靴は履き終わったらすぐにシューズボックスに入れずに、通気性のいい場所で数日間、乾かそう。最悪、カビが生えてしまったらどうすればいのか?

天気がよくて、空気が乾いた日に、風通しのいい場所で2~3時間の天日干しをしてください。靴を乾燥させ、カビを殺菌させるためです。あまり長時間、日光に当てると革質や表面の塗料が傷むので注意が必要です。天日干しが終わったら歯ブラシなどでカビを落として、その後は通常の保湿クリームを塗って保管してください」(広津さん)

 スニーカー同様、革靴も2足以上をローテーションで履くことをお勧めしたい。雨に濡れたら短時間の日光浴が必要となると、当然1足だけでは足りなくなる。毎日、足の裏から出る汗を吸っている革靴は湿気もたまりがち。連日履くよりも、1日履いたら1日休ませる。ローテーションで履くことで寿命も長くなる

 そして、履くときには靴べらを忘れないように。

「革靴を履くときは、紐靴なら紐をほどき、靴べらを使ってください。ぴったりサイズの革靴に足を無理にねじ込むと、ヒール部(かかと)の中に入っているカウンター(芯材)が折れてしまいます。靴べらを使わずに無駄な力が加わると、余計なシワが入ってそこから靴が傷んできてしまいます」(浮川さん)

ストレスを軽減させる革靴を

 なかなかスニーカー感覚で気軽に履けない革靴ではあるが、日々のメンテナンスが必要だからこそ愛着が沸くというもの。スニーカーや運動靴で知られるムーンスターが展開する紳士靴「バランスワークス」はどんな特徴を備えているのか。

「バランスワークスは、安定感のある紳士靴を目指して2017年に誕生しました。大きな3つの特徴があります。インソール(中敷き)には大小のドットをあしらっていますが、これは4000通り以上に相当する組み合わせから導き出された配置です。足裏感覚を刺激してバランス能力を向上させる配置となっています」(広津さん)

ムーンスター

靴底にくぼみが設けられているのが特徴だ

「アウトソール(靴底)には適度なくぼみを設けています。このくぼみがあることで地面を広く捉えることができ、また高低差があるので足元のグラつきを抑えられます。ヒールとカウンターも内側を長く非対称にすることで、骨格構造上内側へ倒れやすい足をサポートしています。これらの機能が革靴を履くときの負担を軽くして、ストレスを軽減しているのです」(浮川さん)

 バランスワークスのクラシックシリーズは、フォーマルなスタイルにもマッチする上品なつくりと機能性を両立させたライン。この春デビューした新社会人たちは、革靴のいろはを押さえてビシッと履きこなしてほしい。

<取材・文/松山タカシ>

80年代の文化(雑誌、音楽、ファッション)や現代アートが好き

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